【2014/4/11】東京・官邸前

4月に入り、夜の抗議行動もようやく少し暖かくなってきました。
「情景が目に浮かぶ」「毎回感動して泣いてしまう」と大好評の、スタッフの方からのレギュラー・レポートをお届けします!
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今日は、再稼働を明記したエネルギー基本計画の閣議決定に対する抗議として、12時~13時に官邸前で緊急抗議が行われることになっていました。もちろん通常の官邸前抗議もあります。
遂に、原発再稼働に本気で走り出した政府。ありえない…。
今日の12時~13時の緊急抗議が決まったのを知ってから、何とか参加したく、昨日からどうやったら会社をサボれるかひたすら考えていました……(※これ読んでる会社のHちゃんUちゃんSさん、お願い聞き流して)
しかし朝イチの仕事もあり、休むのは難しい状況。とすると、あとは11時頃に早弁し、突然、はらいた起こして早退ってテしかないな…(早弁はしなくてもいいだろ、早弁は)
そんな必死の妄想も虚しく、結局緊急抗議には参加できず…(泣)会社に居ても気になって気になって仕方ありません。しかし、平日真っ昼間の緊急抗議にもかかわらず、たくさんの人が集まったとのこと。「悔しくて涙が出てきた」という声も聞きました。
福島の原発も全く収束してないというのに、どんどん原発再稼働へと向かって行ってる…。ワナワナワナワナ…((怒))
97回目を迎える金曜官邸前抗議。ワナワナしながら向かいました。(怒)(怒)
今日は官邸前につながるグミ坂の歩道エリアが私の担当だったので、まっすぐ官邸前エリアへ!昼間と夕方、二度の抗議という人もたくさんいるようです。
背の高~い外国人女性が1人、グミ坂を歩いてきました。抗議に並ぶ人達を真剣な表情で見つめています。私と目があうとニッコリと微笑み、小さくお辞儀をして通りすぎて行きました。
『脱原発』の脱の文字を赤で書いた、手書きのプラカードを片手で掲げたまま、塀に座って資料の様なものを真剣に読んでいるおじさん。
その近くにサッと入った若い男の子は、ポケットに手を突っ込み、ムッとした顔で前方を見つめています。
今度はそこへまた別のおじさんが入って来ました。リュックからガサゴソとプラカード出すと、胸の前に掲げて黙って立っています。
官邸前に向けての抗議スピーチが聞こえて来ました。
「16万人の福島の被災者を見捨てて、原発に回避するあなたの心は汚れています!」
「そうだ!!!」
と叫ぶ参加者の皆さん。
「原発なんて絶対反対です!」
「絶対反対だー!!」
6時半すぎからどんどん人が増えて来ました。と同時に、帰る方々もいます。入れ替わり立ち替わり…リレーしながら抗議は続いていきます。
来たとたんバッグからパンを出して、かじりながらコールするおばさんがいます。いや、ゆっくり食べてくださいよ…ホントに…(泣)
地下鉄入り口から若い男の子が二人、出てきました。おっ…初めてっぽいな~この二人。匂いで分かるぜ!(どんな匂いですか?)
二人はキョロキョロしながら周りを見渡し、とりあえず…って感じで、出口近くの抗議の列に加わりました。しばらくそこに立っていましたが、「ちょっと回ってこようぜ」と言うと、グミ坂を前の方へ、ゆっくりした足取りで上がって行きました。
グミ坂ではまた抗議スピーチが始まります。「あなたが首相やめるか原発やめるか、どちらかにしてください!」
すると斜め前に立っていたおじさんがボソッと呟く様に…でも、相当な怒りを含んだ言い方で「辞めちまえ早く…」。
次のスピーチの方が「安倍、よく聞けー!」と言うと、またボソッと「よく聞けよバカヤロー…」。
グミ坂を上がって行った、さっきの男の子二人組が戻って来ました。二人はちょっと興奮した様子で「若い奴多いよなあ!すげえなぁー!」と言いながら、また抗議の中に加わりました。
毎月、南三陸町にボランティアに行ってるという女性が官邸に向かってスピーチし始めました。
「この間は、初めて南相馬にボランティアに行きました。綺麗なおうちがそのまま…誰も居ない街に立っているんです…。」
女性の声は僅かに震えていました。
ペパーミントグリーンのコートを着た女の子がやって来て、抗議の列に入ります。綺麗な色だなあ~。ちょっとホッコリ(^^)うふふ
若い男の子が片手を握りしめて近づいて来ました。「カンパします」片手に握り締めた小銭をソ~ッとカンパ袋に入れると、ペコリとお辞儀をして帰って行きました。それと入れ替わる様に、スケボー持った男の子が地下鉄出口から出てきて抗議の列に入ります。
その後ろから、また若い男の子が1人、地下鉄出口から出て来ました。周りをゆっくりと見渡し、グミ坂を前の方へと歩き出します。ちょっと歩いたところで立ち止まり、また引き返して来ると、おずおずした様子で私に近づいて来ました。そして、
「あの、すみません…これって…どっから入ったらいいんですか?」
「え…?抗議…の事ですか?」
「はい」
「あ、どっから入っても大丈夫ですよ!お好きな場所にどうぞ!」
すると男の子はホッとした顔で、「ありがとうございます」と笑顔を見せると、キョロキョロと辺りを見回し、それでもどうしたらいいか分からない感じで、今、出てきた地下鉄入り口の側にそっと立ちました。
最終コールが始まりました!今日はいつも国会周辺でドラムを叩いてくれてる「み」ちゃんが、体調不調にも関わらず、最終コールに合わせてグミ坂で太鼓を叩いてくれてます。いつもと違う音が響き渡るグミ坂。決して大きな音ではないのですが、心臓の鼓動の様に…静かにドコドコ鳴り響く太鼓。いい感じだなぁ~。ありがとう「み」ちゃん~!!
8時になりました。
お疲れ様でした~と、みんな帰り始めると、さっき「何処から入ったらいいですか?」って聞いてきた男の子が、またおずおずと近づいてきました。そしてちょっと恥ずかしそうな笑顔で「あの…カンパします」と言って、慣れない手つきでカンパしてくれました。
「わ!ありがとうございます!…初めてのご参加ですか?」
男の子は更に恥ずかしそうな笑顔をし
「はい…初めて来ました」
「ありがとうございます!お疲れ様でした~」
と言うと、男の子はペコリと頭を下げ、
「お疲れ様でした。あの…これからも宜しくお願いします…」
と言って、もう一度お辞儀をし、地下鉄入り口に入って行きました。
帰り道、経産省の交差点まで歩いていくとビッグイシューの販売員さんがいつもの場所に立っていました。あ、新しいの買わなきゃ!と、購入ついでに抗議前に食べようと買っといたオレンジタルトを販売員のお兄さんに「どうぞ~」と渡し、横断歩道まで歩いていくと、原発反対のプラカードを抱えた抗議帰りのご婦人が、やはりビッグイシューを片手にニコニコしながらこっちを見ています。私が側まで歩いていくと笑顔で、
「ビッグイシューも値上がりして300円から350円になったのよね。」
「あ、そうみたいですね~」
「でも、値上がりした分、販売員の方に入る収入も増えるんですって。良かったわ…。」
ご婦人はそう言うと、ニコッとし…交差点を渡って行きました。
選挙では自民党が圧勝。都知事選でも自民党候補者の圧勝。原発ゼロの政策はあっさりと撤回され、いよいよ原発再稼働へ向けて、強引とも言えるスタートを切り始めています。
どこをどう見ても…
『最悪』
しかし…
負ける気がしません。
能天気すぎでしょうか…?
私はこれでも…どちらかっつーと能天気な方では無いはずなんですが、原発に関しては、どういうわけか…負ける気がしないのです。
後から後からこんだけ不利な状況に追い込まれてんのに…。単にニブイだけなのか、アホなだけなのか…。
でも本当に悲観的にはならないのです。いや、なりたくてもなれないのです。
『奇跡は起こる。希望の光は消すことはできない。』
今日、偶然聴いた…しかも、生で聴いた歌の一部分です。今日この言葉を聴いたっていうのも、単なる偶然ではない気がします。
「負けて負けて負けて…そして最後に勝つ」
必ず…
では、また来週~!!
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【2014/4/4】東京・官邸前

3年目に入った毎週金曜日の首相官邸前抗議。
「情景が目に浮かぶ」「毎回感動して泣いてしまう」と大好評の、スタッフの方からのレギュラー・レポートをお届けします!
今回はこんな名言も。
「あのね、私達の中にも悪魔がいるの。『ほっとこう』って悪魔がいるの。でも、ほっといちゃダメなの。絶対ダメなのよ」
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 2月に新たに会社が引っ越したビルの横は、見事な桜並木になっています。思い切りオフィス街な立地ですが、この季節だけは別世界な美しさ!殺風景な街並みをふんわり優しく包み込む様に、淡いピンクの花が、ビルの谷間を埋めつくします。
 今日、昼休みに外に出ると、桜並木の道に桜吹雪が舞っていました!うっわーっ!きれい~!!ピカーンと晴れ渡った空から、花びらが風に乗ってひらひら…降ってきます。道路や停めてある車にも花びらが降り積もり、桃色の世界になっていました。
 桜なんて毎年見ているのに、もう何十回も見ているのに…毎年同じようにウキウキする。毎年、感動する。凄いなあ…。そして桜って…幸せな花だなあ。
 今日は雷だ竜巻だ!と、とんでもない天気予報だったせいか、人数もちょっと少ない感じです。長い闘いになってきてるせいか、参加者の方々も、無理せずしぶとく続けていけるよう、体調や気候と相談しての参加になってきました。いや、そらそうでしょ。三年目に突入だからね。毎週毎週…だからね。
 今日はまず官邸前エリアへ。久しぶりにド頭の先頭集団に来てみました~。
 グミ坂に並ぶ人達の中には、雨を懸念してレインコートを着ている方がけっこういます。みんな、わざわざ、雨が降るかもしれないっていう夕方、ここへ来てんだよな…。
 青いウインドブレーカーを着た若い男の子は腰に手を当て、仁王立ちしながら一生懸命叫んでいます。その横では、年配の女性が手書きのプラカードを胸に掲げ、じっと黙って立っています。腕組みしながら、ちょっとめんどくさそうに声をあげる男性も。いや、めんどくさいよ、こんなこと。早く抗議なんてやめたいよね。
 官邸前エリアはスピーチはほとんど無く、ずっとコールを続ける抗議スタイルです。何回も何回も…同じ言葉を何度も何度も繰り返し叫んでいるだけなのに、なんつうか…飽きないんですよね、これが。普通、退屈だよね。おんなじ事、何回も叫んでるだけなんだもん。でもきっと1回1回違うんだよね。ここに来て声を上げている人達にとっては、同じ言葉でも1回1回が違う気持ちなんだろうな…。
 国会前の方へ行ってみました。
 黒いオーソドックスなゴム長靴をはいた老夫婦が、塀に座っておにぎり食べながらコールしています。おにぎりをほおばりながらも「原発いらない!」と叫ぶお二人(^^;首からはプラカードをさげています。
 カバンを持った会社帰りのサラリーマンの男性が1人、眉間にシワをよせ、ムッとした表情で黙って国会を見つめていました。
 1人で来た感じの女の子が、みんなからちょっと離れた場所で、バッグを抱えるように持ち、立っていました。コールが始まっても声はあげず、黙って立っています。でも彼女、凄く明るい表情をしていました。しっかりとした表情でみんなの方をじっと見ていました。
 またまた財務省の交差点の方へ戻って来ました。いつもの寄せ書き集めの方達が今日も呼び掛けています。今日は、川内原発と大間原発への寄せ書きです。最近、書いてなかったな~ってんで「書きま~す!」と近づいていきました。大きく広げられた模造紙には既にたくさんの言葉が。
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『No More フクシマ 故郷を失う苦しみをくりかえすな』
『福島の私の実家には、今、敷地内に除染土の仮置きコンテナがおかれています。絶対に再稼働を許してはいけません。』
思わず…
「ホントだよ、絶対ダメだよ」
と呟くと、寄せ書き集めをして下さってるご婦人が
「そうよ、絶対ダメよ!」
「ですよね」
と私が答えるとご婦人は
「本気だから私…。本気でやらないとダメなのよ」
そして、
「あのね、私達の中にも悪魔がいるの。『ほっとこう』って悪魔がいるの。でも、ほっといちゃダメなの。絶対ダメなのよ」
するとそこへ、1人のおじさんがやってきました。おじさんはニコニコしながら、
「核の花はいつか散る!」
と言います。
「そうね~、散るわね!必ず!」
するとおじさんはまたニコニコと…
「既に我々は勝っている」
思わず私も
「そうですよ、勝ってますよ!」
と言うと、おじさんはニッコリ。ご婦人が更に元気な声で、
「頑張ろっ!…頑張るしかないもん!」
「はい!頑張りましょう!」
私も笑顔でその場を離れました。
官邸前エリアでは最終コールが始まっていました。雨が上がってから風が強くなってきています。しかも冷たい!
また冬に逆戻りしたかのような寒風吹きすさぶ中、みんな身を縮めるようにして一生懸命コールしていました。時折、風に乗って桜の花びらも飛んできています。
桜は毎年毎年、みんなに注目され、歓ばれます。咲いた咲いた!綺麗だ!って騒がれ、テレビや雑誌やインターネットでバンバン紹介されます。
けど、その足元には、必死で頭をあげて咲く小さな花もあります。
ここ、金曜官邸前抗議の場にも…目立たないたくさんの花達が、一生懸命咲いています。
本当に本当に、綺麗な花達です。
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【2014/3/28】東京・官邸前

3月28日の「再稼働反対!首相官邸前抗議!」のレポートです。
いよいよ3年目。
私たちの思いは、いつまでも変わりません。
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いや~、すっかり春になりましたね~
NO NUKES DAYが終わった後、仕事が忙しかったり体を壊したりで官邸前抗議に行けなかった私。久々な今日は、官邸前抗議が始まって2年目の日…でした。
あっという間に…もう2年だなぁ~。
2年目の節目の今日は朝からポカポカ!まさに春の日でした。ついこの間までは冬だったのに…。季節は確実に変わっています。桜の花も咲き始め、着る物も軽くなり、何となく気持ちも明るくなる…はず…ですが…。そうも言ってられない3.11以降の春…。
霞ヶ関から財務省の交差点までの坂道の桜はまだ五分咲きくらいでした。チラホラ膨らんできてるな~と眺めながら坂道を上がって行くと、途中でまっピンクな花が満開に咲いている樹が!
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そういえば去年も一足早く咲いてたわ!枝いっぱいに可愛いピンクの花!こころも顔も、ちょっとニッコリし…財務省交差点へと急ぎました~。
2年目の今日も、いつもと変わらず「原発いらない!」の声が響き渡っている永田町。2年たってもみんなの気持ちはずっと続いてリレーされて来ています。
…と、着いた早々、とっトイレに行きたくなったぞ!会社出る前にフルーツジュース500mlガブガブ飲んだのがいけなかったか…やはり(-“-;)
着いた早々、トイレトイレと国会議事堂前駅へと急ぐ私。財務省交差点で信号が青に変わるのを待っていると、目の前に《なくそう原発》と書いてある手作りの黄色い旗をなびかせた自転車が止まりました。黄色い旗はかなりヨレヨレ…相当くたびれています。きっと、ずっとずっと一緒に走って来たのでしょう。晴れた日も雨の日も超~寒い日も、自転車の後ろにしがみついて…一緒に頑張ってきた旗なんだろうな…。何となくボーッとそのヨレヨレの旗を眺めているうちに、信号が青に変わりました。その黄色い旗は、またパタパタと風を受け、自転車と共にグミ坂の方へと消えて行きました。
国会議事堂前駅の4番出口から地下に降りていくと、白い杖を持った目の不自由な男性と、その人の手をとってゆっくりと階段を登って来る参加者の方と擦れ違います。目の不自由な方や車椅子の方…誰もが安心して原発反対の声をあげられる抗議の場が、金曜の永田町にあるのです。
駅構内のトイレから出てくると、二人のご婦人がニコニコしながら「やってるやってる!」と言い、嬉しそうに歩いてきました。駅構内にはグミ坂で叫んでいるみんなの原発やめろコールが響き渡っています。「すごいわね~!」二人はニコニコしながら階段を上がって行きます。私もその後をついて地上へ…。
昼間はあんなに暖かかったのに、やっぱり夜になるとまだまだ寒いぞ!(>__<)
国会前ではコールが続いています。すると、列の最後尾の方から、突然デカイ声でコールする男性が…。見ると、スキンヘッドのイカつい顔した男性が、腕を組んで国会の方を見ながら、しゃがれた声を張り上げてコールしています。その人は「日本に原発、一基もいらない!」というコールを「世界に原発、一基もいらねえ!」と言い替えて叫んでいました。
官邸前エリアへ戻って来ました。
グミ坂の一番後ろ、抗議の列からとても離れた場所で、若い男の子が二人、国会の方に向かい「原発反対!」と叫んでいます。
グミ坂を上がっていくと、スーツ姿のサラリーマンの男性が、ちょっと慣れない感じで拳あげながらコールしていました。
2年間、毎日毎日ずっと見てきた光景です。
今日ここで2時間、原発反対を叫んだからといって、今すぐどうなるわけではありません。そんなの良く分かってます。
自分達の声が届いてんのかどうか…聞こえてんのかどうか…。成果が見えない、真っ暗な闇の中を手探りで進んでるような毎日でした。
しかしながら…やめないでしょう、みんな。
先日、104歳で亡くなられた詩人のまどみちおさん。まどさんの、この詩を読んだ時、何故か官邸前抗議のことが浮かびました。
『もうすんだとすれば』
一緒にいるときは
ひとりぼっちなのだ
やかましいから
静かなのだ
黙っている方が
しゃべっているのだ
笑っているだけ
ないているのだ
ほめていたら
けなしているのだ
うそつきは
まあ正直者だ
おくびょうものほど
勇ましいのだ
利口にかぎって
バカなのだ
生まれてくることは
死んでいくことだ
なんでもないことが
大変なことなのだ
金曜官邸前抗議、3年目の始まりです。

0309NO NUKES DAY 原発ゼロ★大統一行動 レポート(その3)

東京・日比谷で行われた
0309NO NUKES DAY 原発ゼロ★大統一行動
の様子の「その3」です。
今回で完結!
その1」「その2」もぜひご覧下さい!
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晴れてはいますが風はやはり冷たくなってきました。延々と強くデモ隊を迎えながら、「何か寒くなってきたね~」とプルプルしてると、一人のご婦人が、ちょっと恥ずかしそうな笑顔をして近づいて来ました。
ためらいがちに微笑みながら「あのぅ~ね…」と仰るので「はい、何でしょう?」とこちらも笑顔で応えます。すると、更にためらいがちに、
「あの…カンパなんだけど…ね…、そのぅ~あのぅ~…」
「はい…」
「えぇ~と…」
「はい…?」
「そのぅ…」
「?」
ご婦人は小声で囁くように…
「おつりあるかしら?」
ワァオ!!久しぶりのカンパのお釣り!!(笑)わはは!!!
「ありますあります!大丈夫ですよ!過去にもそういう方いらっしゃいましたし!全然オッケーですよ~!ありがとうございます!」
「ホント~?良かった~。何か申し訳なくてね~(笑)」
「とんでもない!こちらこそすみません、ありがとうございます!」
ご婦人はニコニコしながら、お釣りを受け取り「どうもありがとう~」と去って行きました。
(ああ…懐かしい。官邸前でのあのカンパのお釣りのおじさん(^^;)
Mちゃんと二人、「そこまでしてカンパしてくれるって逆に嬉しいよね~」と微笑み合います。ホントにありがとうございます~。
さて、デモ隊も全てゴールした様子。警察官の方たちも片付けを始めました。「やっとデモ終わったね~」この後は、また国会周辺へと戻ってカンパ&見送り&後片付けをしなきゃ!
…が、さすがにちょっと休憩したい(^^;何かじっと立ってたら寒くて冷えきっちゃったし、とにかく喉が渇いた。あったかいカフェオレとか飲みたい~。Mちゃんも足が痛いと騒いでます。「この辺に何か店…無いかな~」警備に立ってた警察官のお兄さんに、何の躊躇もなく
「すみませーん。この辺に、ドトールみたいなコーヒー屋さんてありますかぁ?」
と聞く私達。
「ああ…、え~と、確かここ真っ直ぐ行って信号渡った所に、タリーズか何かあった様な…」
「ありがとうございま~す、行ってみます」
足が痛いとうるさいMちゃんを引っ張りながら、急ぎ足で歩きます。自民党本部を通過し大きな交差点に出ると…
「あ!あったあった!ホントだ!」
交差点をヨロヨロしながら急いで渡り、やっと念願の水分補給へ~~。
場所は永田町で、日曜の中途半端な時間だと言うのに、店内はほぼ満員な状態。チラチラお客さんを見ると、デモ隊から流れて来た感じの人達がたくさんいます。
私達も、暖かいカフェオレと紅茶を注文し、レジ前で待つことに。混んでる為に、店員さん達も大わらわな様子。しかも、ちょっと新人さんぽい馴れない手つきの店員さん…(^^;レジ前には注文した飲み物を待つ人達が並んでいます。なかなか出来そうにないので、足が痛いと騒いでるMちゃんを先に席に座らせ、私一人、レジ前で注文した物が出来上がるのを待っていました。
いまいち電波が良くないシーバーの会話に注意を払いながら、何か視線を感じるので顔をあげると…私の横に、ベビーカーを押した若いパパが立っていました。紺色のピーコートをきちんと着た品のいい感じの若い男性です。ベビーカーには2~3歳位の小さな男の子が乗っていました。視線はその二人からでした(笑)ベビーカーに乗った男の子はスッゴい笑顔で私をジ~ッと見ています。若いパパの方は、チロチロと…
まぁ…確かに…。腕に《首都圏反原発連合》の黄色い腕章をし、カンパ袋をさげ、片耳にイヤホン突っ込んで肩からトランシーバー下げてるアンタって…いったい何者?って感じですわな(^^;;
相当あやしい奴だって思われてんのかな…と、何気に視線を気にしながらコーヒーを待ってると、若いパパの方の飲み物が出来上がりました。するとその男性は、ベビーカーを動かして歩き出す時、私の目をしっかり見ながら、微笑むというよりはむしろ真剣な表情で「どうも…ありがとうございます…ありがとうございます」と小さな声で言い、お辞儀をして店を出て行ったのです。
一瞬、何が起きたか把握出来ずポカンとしてしまった私…。ただ、反射的に「あ、いえ…」とか言ってお辞儀はしたけど…。
一瞬の出来事でした。
でも、ずっとずっと心に残るような暖かい出来事でした。
さて…。暖かいカフェイン注入して、再び覚醒した私達は、ゆっくりする間もなくとっとと店を後にし、再び国会前へと向かいました!
あと1時間位で抗議も終わりです。歩きながらMちゃんが、「ねぇねぇ、あたしさぁ、今日は相当カロリー消費してると思う!」と、若干嬉しそうに言いだします。ま、確かに今日は良く歩いてるよね…うちら…(^^;
官邸前の方に出て国会の裏手を回って戻ってくると、財務省交差点は、人の往き来が何だか激しい感じです。朝からずっと参加されてた方達はちょっと早めに帰路についているのかもしれません。逆に昼間は参加出来なかったけど、夕方の抗議だけでもちょっとは出たいという方が、ワラワラといらしてる様な感じ…。
Mちゃんと私は様子を見て、最終的には財務省の交差点にそれぞれ立つことにしました。
もうすぐ5時だというのに空はやんわりと明るく、春は確実に来ているのだということを教えてくれてるよう…。
カンパ袋をさげ、「お疲れ様でした~」と言いながら皆さんを見送り始めます。
5時になりました。帰る人の波がドッと増えてきます。舗道に立ち、お疲れ様でした!と叫ぶスタッフに、笑顔で「お疲れ様」「ご苦労さん」「ありがとう」と声をかけてくれる参加者の方々…。
いつもの…もう何回も見てきたお馴染みの光景です。でも、毎回ジワッときそうになる…この時間。
そんな思いを抱えながら皆さんを見送っていると、一人のご婦人がにこやかな顔で近づいて来ました。
「今日は長丁場だったわね、ご苦労様。カンパするわね!」
「あ、すみません!ありがとうございます!」
「ところでお願いがあるんだけど…」
「はい、何でしょう?」
「おつりあるかしら?」
(ワァァーッ!!ナイス!笑)
「わはは!もちろんです!」
「ごめんなさいね(笑)細かいの電車の切符買うんで使っちゃったのよ~。」
「いえいえ、とんでもない。全然オッケーですよ!ありがとうございます!」
ご婦人はサラリとした様子でニコニコしながらおつりを受けとると、
「これからも頑張っていきましょうね。今日は本当にお疲れ様!」
と言い…帰って行かれました。
後片付けをし撤収作業も終わり、私とMちゃんは「疲れたね~とりあえず早く帰って寝たいね(笑)」とか話しながら、日比谷の方へダラダラ歩き始めました。お昼に食べ損ねたおにぎり弁当も持って帰ってきました。ふっと…日比谷公園にいる、あるおじさんの事が頭に浮かびました。毎週金曜、抗議に行くのに日比谷公園を抜ける時、いつも見る路上生活者のおじさんです。今日も昼間、日比谷公園で当日プログラムを配ってる時にも見かけました。
Mちゃんに「あのさぁ…ちょっと寄りたいとこがあんだけど…」と言い、二人で日比谷公園の中へと入って行きました。日比谷公園の中央広場は、まだ昼間のイベントの続きで盛り上がってる様子…。
それとはちょっと離れたいつもの場所に行くと…居ました、あのおじさんが…。Mちゃんと二人で近づいて行くものの、何て声かけたらいいかな…と一瞬ためらった私にかまわず「すいませ~ん」と、さっさと声をかけるMちゃん。
「あの…今日ちょっとイベントがあってぇ…お昼食べれなくて余っちゃったんで…良かったらどうぞ!」
するとおじさんは意外にもハッキリとした声で、
「ああ!ありがとうございます~!」
と言い、超ステキな笑顔をしてくれたのです。
「すいません…何か、こんな物で…」
と手渡す私達に、おじさんは嬉しそうにまたお礼を言います。じゃあ、おやすみなさい…と私達も笑顔でお辞儀をし、その場を離れました。
みんなが幸せである世の中になればいいのにね。ささやかでもいいからさ…。
だから頑張ろ…。私も、原発無くなるまで、絶対あきらめない。
祈りにも似た気持ちで終わった『NO NUKES DAY』でした。
反原連の皆さん、当日スタッフの皆さん、そして参加された皆さん、参加出来なくても見守ってくれてた皆さん…、本当に本当にお疲れ様でした!