首都圏反原発連合:ステートメント【COP28『2050年までに原発容量3倍』宣言に対する抗議声明】

Posted on by on 12月 7th, 2023 | 首都圏反原発連合:ステートメント【COP28『2050年までに原発容量3倍』宣言に対する抗議声明】 はコメントを受け付けていません

首都圏反原発連合:ステートメント【COP28『2050年までに原発容量3倍』宣言に対する抗議声明】
 
 去る12月2日、アラブ首長国連邦で開催されているCOP28(国連気候変動枠組み条約28回締約国会議)において、パリ協定の目標の達成に向け、世界の原子力発電設備容量を3倍に増加させるという宣言文書に22か国が署名しました。2050年までに2020年比の3倍とする目標を掲げ、小型モジュール炉の導入拡大も視野に入れています。加えて、世界銀行などの国際金融機関や各国の金融機関に対し、融資対象に原子力を含めることを奨励しています。
 
 以下、宣言に盛り込まれた内容です。
 
・最高水準の安全性、持続可能性、セキュリティおよび核拡散抵抗性を保持しつつ、責任を持って原子力発電所を運転する
・長期にわたって責任を持って使用済み燃料を管理する
・新しい資金調達メカニズムなどを通じ、原子力発電への投資を奨励する
・原子力発電所が安全に稼働するために、燃料分野を含む強靭なサプライチェーンを構築する
・技術面で実行可能かつ経済性がある場合には、原子力発電所の運転期間を適切に延長させる
・原子力導入を検討する国々を支援する
 
 この愚かな宣言に署名した22か国は、こともあろうか13年前に福島第一原発事故を起こし、未だに事故収束を成し遂げていない我が国日本の他、アメリカ、アラブ首長国連邦、イギリス、ウクライナ、オランダ、ガーナ、カナダ、韓国、スウェーデン、スロバキア、スロベニア、チェコ、ハンガリー、フィンランド、フランス、ブルガリア、ポーランド、モルドバ、モロッコ、モンゴル、ルーマニア(50音順)。
 
 世界の原子力発電設備容量は2020年末時点で4億788万kWですから、2050年までにその3倍の12億kW強にするという目標になりますが、これは原発推進機関であるIAEA(国際原子力機関)の予測の8億9,000万kWさえも大きく上回る、非現実的なものと言えます。また、宣言では「温室効果ガス排出ゼロを達成する上で、原子力は重要な役割を果たす」とされていますが、文字通り原発推進派が気候問題に便乗し、悪用していることがうかがえます。
 
 この非現実な、アメリカとフランスが主導した宣言に先んじて、日本では今年5月末に『GX(グリーントランスフォーメーション)脱炭素電源法』(原発束ね法)が成立しています。
 
参考:

首都圏反原発連合:ステートメント【『GX脱炭素電源法』成立への抗議声明 】


 
この内容を見ると、この宣言に合わせるかのような取り決めをしていますから、原発束ね法はこの宣言に合わせて成立させたとしか思えません。脱原発を望む国民世論よりも、アメリカの顔色を伺う日本政府の体質が顕著に可視化されています。
 
 言うまでもありませんが、私たち首都圏反原発連合はCOP28を、加えて宣言に賛同し署名した日本政府を強く批判し、この宣言の撤回を求めます。原発は一旦事故を起こせば収束は難しく、放射能による被害を伴うだけではなく、最近ではアメリカのニュースケール社が小型モジュール炉事業中止を発表するなどコスト面でも難易度が高く、日本でも安倍政権以降原発推進に舵を切りましたが、核のゴミの最終処分地が決まらないなど様々な理由で、エネルギー基本計画にある目標の達成も見込まれません。エネ基同様、この宣言は絵に描いた餅と言えます。
 
 人類は核を手にしましたが、これは今すぐに手放すべきものです。20世紀の負の遺産である原発をこれ以上活用しようとするのは蛮行であり、反知性的な主張です。私たちは何代も先の子どもたちに、安全で健全な環境を残さなければなりません。そのためには、再生可能エネルギーやゼロエミッション火力など、被ばくのリスクのない、より安全な発電方法を世界で推進していくのが人類の歩むべき、正しい道であることを確信し、引き続き強く訴えます。
 
2023年12月8日 
首都圏反原発連合 - Metropolitan Coalition Against Nukes –
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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