首都圏反原発連合:ステートメント 【自公新政権・岸田内閣発足に寄せて】

Posted on by on 10月 11th, 2021 | 首都圏反原発連合:ステートメント 【自公新政権・岸田内閣発足に寄せて】 はコメントを受け付けていません

首都圏反原発連合:ステートメント
【自公新政権・岸田内閣発足に寄せて】

 
 2021年9月、自由民主党総裁の任期満了に伴い総裁選挙が行われ、岸田文雄衆議院議員が当選、第100代総理大臣に就任しました。菅前総理は出馬せず4人の候補による総裁選では、国民人気の高い河野太郎前ワクチン担当大臣の当選が予測され、脱原発を強く望む国民の多くからも河野総理誕生を切望する声がありましたが、叶いませんでした。
 
 自民党総裁選挙の党員投票では、予測通り河野太郎氏がトップでしたが、安倍元総理、麻生前副総理などの水面下での議員票の操作により破れ、岸田内閣の誕生となりました。この総裁選は派閥や重鎮の権力闘争だという指摘がされていますが、それだけではなく、党内の脱原発派潰しという側面があったことを、まずは批判します。
 
 第二次安倍政権で原発推進に勤しんだ今井尚哉元総理秘書官が岸田選対に入り混んでいたことや、安倍元総理が高市候補と岸田候補を両天秤にかけていることなどから、岸田政権になれば原発推進は免れないという予測をしていましたが、実際、党の役員人事や組閣において、原発族議員が多く採用されています。
 
 党の役員では原発ムラのドン、甘利明氏が幹事長に就任。組閣については、原発推進派の安倍元総理の側近の萩生田光一氏が経済産業大臣に、甘利幹事長の弟子である山際大志郎氏が経済再生大臣に就任。また、原発維持派の嶋田隆元経済産業事務次官が総理秘書官の筆頭に任命され、菅内閣では実質的に干されていた今井尚哉氏は内閣官房参与に留任し、エネルギー政策を担当します。
 
 しかし、新内閣で環境大臣に就任した、旧民主系出身で民主党政権では閣僚を務めた経験のある山口壮氏は元々段階的脱原発派であり、自身のHPでは「できるだけ自然エネルギーの実用化を早め、脱原発を実現しようとの考えだ」と、河野前ワクチン担当大臣や小泉前環境大臣と同じ主張をしています。大臣就任の記者会見でも、小泉氏の路線を継承し、原発についても慎重な姿勢を崩しませんでした。今後の山口環境相の言動に注目したいと思います。
 
 一方、岸田総理自身は総裁選では、原発推進の安倍政権でさえ世論を気にしてエネルギー基本計画に入れなかった原発のリプレース(建て替え)や、小型モジュール炉(小型原発)の開発を重視すると主張しました。また、核燃料サイクルについても「核のごみ処分10万年が300年になる」とデタラメの主張、すなわち経産省のプロパガンダをそのまま発言していました。明らかに安倍政権の原発推進路線を継承することを明示していたと言えます。
 
 10月7日の岸田総理の所信表明では、原発やエネルギー政策についての言及は皆無でした。すでに「原発推進政権」との呼び名も高いことから、衆院選前の世論の反発を意識し、あえて言及しなかったのでしょうか? 総裁選では原発のリプレースや小型原発について、高市・野田両候補はエネルギー基本計画の修正も必要としたところ、岸田候補はそこまでの言及はしませんでした。今月中に閣議決定予定の第6次エネルギー基本計画は第5次計画を踏襲されると言われていますが、注視が必要です。
 
 岸田総理が所信表明で掲げた「新自由主義からの脱却」「格差是正」「分配」。原発問題は放射能の問題だけではなく、それらのどの問題をもはらんでいます。また、国防面においても、テロやAI兵器のことを考えればまず最初に無くすべき施設です。昨今増えている大きい地震は原発事故に繋がる可能性があります。岸田総理の掲げるスローガンに原発はそぐわないものです。
 
 原発推進派の甘利幹事長や安倍元総理の強い影響があると言われている岸田政権ですが、岸田総理には、原発推進だけではなく格差社会を増幅させてきた3Aの影響から脱却し、独自路線を追求していくことを切望します。所信表明では広島選出の代議士らしく核廃絶を強く主張しましたが、原発も核を使用する危険な施設であることを改めて認識し、脱原発を望む7割以上の国民の声に対し、お得意の「聞く力」を発揮していただきたいものです。
 
2021年10月12日 
首都圏反原発連合 – Metropolitan Coalition Against Nukes –
 
 
 
 
 
 

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