NO NUKES PRESS web Vol.034(2020/10/29)

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NO NUKES PRESS web Vol.034(2020/10/29)
 
Statement:原発事故から10年 ー 活動休止に向けて
 
ご報告:首都圏反原発連合 – Metropolitan Coalition Against Nukes –
 
首都圏反原発連合は、2021年3月末日をもって活動を休止します。活動休止に向け、私たちが何を思いどう活動してゆくのか、今年前半を振り返りながらご報告いたします。
 
 

【NO NUKES PRESS web Vol.034(2020/10/29)】Statement:原発事故から10年 ー 活動休止に向けて https://pic.twitter.com/SWKKV4AZNG http://coalitionagainstnukes.jp/?p=14354

 
 

首都圏反原発連合:ステートメント 【活動休止のご報告】
 
 首都圏反原発連合(反原連)は、福島第一原発事故を契機に2011年9月に発足して以来、9年間にわたりたゆまず活動してまいりましたが、2021年3月末日をもって活動休止することをご報告いたします。ただし、原発ゼロにエネルギー政策が転換されるまでは解散せず、公式HP、TwitterやFacebookなどのSNSアカウント及び、運営に使用しているグループ・ウェアは継続します。
 
 昨年、コロナ災害の前に活動休止の時期を内定し、休止までに必要な運営費として、2度目のドネーション・プロジェクトを実施しております。休止の理由としては、マンパワーの温存に限界があること、脱原発運動が市民運動の中心から外れてくるに従い寄付金が減少し、これまでの多岐にわたる活動内容に対し、運営資金の捻出が難しくなってきたことがあげられます。
 
 反原連の軸となる活動は、2012年3月末から毎週金曜に実施している『再稼働反対!首相官邸前抗議(金曜官邸前抗議)』です。何かあれば官邸前、国会前に集まり意思表示をするという方法とスタイルは、SEALDsの活動などに広がり、現在も多くのグループ・団体が様々なイシューで実施しており、市民運動において、ひとつの役割は果たしたものと考えています。
 
 また、世論も圧倒的に脱原発です。原発事故後、民主党政権が打ち出した脱原発政策を反故にし、第2次安倍政権ではエネルギー基本計画で「原発をベースロード電源」とし原発を推進。しかし原発がなくても電気が足りていることなどがわかり、事故前の懸念は全て払拭され、世界の潮流も自然エネルギーになり、経済的コストもリスクも高い原発に依存する理由はなくなりました。
 
 活動休止時期の内定後に最後の1年がコロナ災害に見舞われることは予測できず、現在、手探りで運営を続けています。この間、金曜官邸前抗議は、基本、コアメンバー(運営委員)の少人数で実施しています。また、活動休止までに従来のかたちでの国会前集会の開催も難しいのですが、ネット配信による活動などに代替し、模索しながら実行してまいります。
 
 未だ脱原発実現も叶わず、福島第一原発事故はまだ終わっておらず、様々な問題が山積する中、志半ばでの活動休止のお知らせに、お叱りを受けるかもしれません。または、状況をご理解いただけるかもしれません。いずれにせよ、あと半年の活動期間の中で、初心に戻り、誠実に丁寧に、できる限りの活動を実施してゆく所存です。皆様にはご理解とご協力、そして応援を賜れますと幸いです。
 
2020年10月2日 
首都圏反原発連合 – Metropolitan Coalition Against Nukes –

 
 

去る2020年10月2日、私たち首都圏反原発連合(反原連)は、2020年度末をもって、これまで多岐にわたり取り組んできた活動を休止することをアナウンスした。ただし、原発ゼロ政策が実現するまで解散はしない。この決定は新型コロナウイルス感染症拡大に見舞われる前に内定していたが、最後の1年がコロナ災害によって活動制限されるとは思いもよらなかった。
 
反原連の軸となる活動は、2012年3月から毎週実施してきた『再稼働反対!首相官邸前抗議』(金曜官邸前抗議)だが、コロナ感染拡大防止のための政府の自粛要請の前に、自主的に2月末から休止に入った。8年ものあいだたゆまずに継続した抗議を約4ヶ月も休止したが、7月からは基本コアメンバー(反原連・運営委員)のみで小規模に再開している。
 
金曜官邸前抗議のほかに、年に3~4回週末に開催している国会前集会も、今年の3.11の追悼集会含めすべて開催できていない。今現在、集会や抗議への参加の呼びかけをしている運動体もあるが、金曜官邸前抗議の常連参加者には感染すると重篤化しやすいと言われている高齢者もおり、主催の責任範囲として、参加を呼びかけることには慎重にならざるをえない。
 
コロナ感染拡大防止対策の基本は、人と人との接触を減らすことだ。私たちが主催する抗議行動は人が集まる性質のものであるし、都心の地下鉄の混雑を考えると、積極的に呼びかけはできない。人が集まることができなくなり「リモート」という活動方法に代替は可能ではあるが、最後の1年を思うように活動できないことは本当に不本意だ。
 
昨年から準備し、今年2月に2度目の『ドネーション・プロジェクト』を開始し大きく寄付を呼びかけ、最初の2ヶ月で目標額の75%の善意が寄せられたが、その後は伸び悩んでいる。コロナの影響であることは間違いない。抗議に参加者がいないということは、現場でのドネーション(カンパ)も無い。活動休止までに運営資金が尽きないことを祈る。
 

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コロナ災害下での活動を手探りで模索する中、突然、私たちが長年にわたり望んできたことが起こった。安倍首相が辞任を表明したのだ。持病の悪化という理由だが、コロナ対策の不手際から「こんな人たち」以外の人々からも批判され政権支持率も低下、オリンピック開催も憲法改正も危ぶまれ気力と体力が落ちた結果、二度目の放り投げ辞任をしたのだろうと考える人は多いと思う。
 
反原連は、基本、無党派である。メンバーの中には、特定の支持政党を持つ者もいるが、全くもたない者が多い。2012年6~8月に官邸前抗議に万単位の人々が集まった時にも、民主党政権打倒ではなく、大飯原発再稼働反対のワンイシューを貫いたくらいだが、安倍政権については、「安倍政権NO!★実行委員会」を呼びかけ組織し、政権打倒運動も並列で実施してきた。
 
原発問題における安倍政権との戦いは、2014年4月に始まった。安倍政権は第4次エネルギー基本計画において、民主党政権が打ち出した段階的脱原発路線を反故にし、原発を「重要なベースロード電源」に定めたのだ。これすなわち、原発の維持と推進を目指すもので、その後の再稼働ラッシュにおいて、この基本計画を原発立地自治体に対し印籠のように突きつけ再稼働させていった。
  
これには経済団体の影響が強く、私たちは経団連への抗議も行ったが、それだけではなく原発推進の「奥の院」があった。経産省出身で身内に原発ムラの重鎮を持つ、今井尚哉(たかや)氏の存在だ。今井氏は第2次安倍政権発足前から安倍氏と親しく、総理秘書官に就任し安倍首相の寵愛を受け、エネルギー政策を私物化してきた。2012年の大飯原発再稼働の折にも、暗躍したことは有名な話だ。
 
官邸前に万単位の人々が集まった結果、民主党政権は私たちを官邸に招き、当時の野田首相との面談が実現。その後、脱原発路線を決定した。しかし、安倍政権は路上の人々の声を聞くことをしない。福島第一原発事故以降、国民世論は圧倒的に脱原発であるにも関わらず、国民の声よりも今井氏の意向が優遇されてきた。脱原発の障壁が政権運営にあるとしたら、政権を倒すしかない。
  
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反原連の活動最後の年に、コロナ災害と政権交代というふたつの大きな予想外のことが起きた。コロナへの抵抗は難しく、おとなしく感染防止対策をするしかないが、菅政権はどうだろうか。菅首相は安倍政権の官房長官として、全ての不祥事に蓋をし防波堤になってきたことから、「安倍政権は終わっても安倍政治は続く」と懸念する声も多く、「菅辞めろ!」と抵抗が始まっている。
 
しかし、私たちがまず考えるのは、菅政権に脱原発を実現するポテンシャルがあるかどうかだ。安倍氏は辞め、今井氏は新内閣では格下げの内閣官房参与に就任、前政権のように政策の私物化はできなくなったと言えるのではないだろうか。加えて、菅氏の側近には脱原発派の河野太郎氏をはじめ、隠れ脱原発派と思われる小泉進次郎氏や、自民党の再エネ推進議員らがいる。
 
これだけの理由で脱原発が実現するとは言えないが、安倍政権よりポテンシャルは高い。自民党は核武装を狙い原発を手放さないだろうという意見もあるが、隠れ脱原発派がいることも事実で、このパワーバランスにも注視が必要だ。菅首相が言うところの「悪しき既得権益と前例主義」とは、そのまま原発産業も指すのだが、菅氏自身はエネルギー政策をどう考えているのだろうか。
 
今現在、菅政権のエネルギー政策の方針は発表されておらず、菅首相の福島第一原発視察でも語られなかった。しかし、来年には第6次エネルギー基本計画が策定される。第5次計画は2018年7月に閣議決定され、少なくとも3年に1度の見直しを定められているので、延期がなければ2021年7月までには、第6次計画が閣議決定される見込みだ。
 
それに向け、菅政権に対し、原発ゼロへのエネルギー政策の転換を求めることは、私たちが新政権に期待しているように誤解される向きもあろうが、そうではない。私たちはどの政権に向けても脱原発を迫り可能性を追求する。それ以上でも以下でもない。長らく応援してきた脱原発を掲げる野党に期待を寄せつつも、いまは現政権に脱原発をさせるのが最短であると考える。
 
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コロナ災害はワクチンの普及により収束すると見込まれることから、しばらくはこのような生活が続くだろう。これにより、多くの人々が経済的に苦しみ、無限の可能性が制限されている。しかし、私たちはこれを乗り越え、希望を未来に繋がなければいけない。福島第一原発事故後に果たせなかった社会的パラダイムシフトを、コロナ後の世界では実現したいものだ。
 
そのためには、既得権益や前例主義など、古く不公正な体質の巣窟である原発ムラを解体し、エネルギー政策を改善しなければならない。脱原発はパラダイムシフトに必要不可欠な要素なのだ。政府がただちにすべきなのは原発推進ではなく、廃炉についての法律を策定し、技術者を養成することではないか。これを据え置き原発を稼働させれば、処分地の決まらないまま核のゴミが溜まり続ける。
 
これこそが「負の遺産」だ。私たちは大人の責任範囲として、後世にかかる負担を軽減しなければならない。金曜官邸前抗議に参加してきた皆さん、日本中、いや世界中で行動を示してきた皆さんも同じ気持ちであると思う。この9年をいろいろと振り返ると、志半ばで活動休止することを申し訳なくも思うが、休止をしても、私たちの意思と目標は変わらない。
 
活動休止の3月末に向けて、初心に戻り、できる限り誠実に丁寧に活動を継続し、綺麗に終わりたいと考えている。その頃にはまだ、脱原発は果たせてない可能性が高い。しかしこれまでの私たちの、そして世界中の脱原発を望む人々の行動は決して無駄にはなってはいない。目に見えない形で、力強い礎になっている。底知れぬ不幸をもたらした原発は、必ず終焉を迎えるはずだ。
 
 
 
 
 
 
 
 

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