NO NUKES PRESS web Vol.028(2020/04/23)

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NO NUKES PRESS web Vol.028(2020/04/23)
 
Opinion:原発復活をリードした今井尚哉総理秘書官と安倍総理の嘘と野望
寄稿:古賀茂明(元内閣審議官・経産省官僚/古賀茂明政策ラボ代表/「改革はするが戦争はしないフォーラム4」代表)

 
2015年3月に報道ステーションで『I am not ABE』のプラカードを掲げ、安倍政権との対峙を地上波で表明してからはや5年。元経産省官僚の鋭い視点で、様々な媒体で発信し続けている古賀茂明さんにご寄稿いただきました。
 

【NO NUKES PRESS web Vol.028(2020/04/23)】Opinion:原発復活をリードした今井尚哉総理秘書官と安倍総理 @AbeShinzo の嘘と野望 寄稿:古賀茂明 @kogashigeaki(元内閣審議官・経産省官僚/古賀茂明政策ラボ代表/「改革はするが戦争はしないフォーラム4」代表)pic.twitter.com/myjpPa92Xq http://coalitionagainstnukes.jp/?p=13917

 
 

「脱原発」の原点は国民の心からの願い 
 
 福島第一原発の事故から9年。
「もう原発はいらない」という、国民の多くが抱いたあの時の気持ちは、現実の政治に反映されることなく今日に至りました。
 
 まず、民主党政権は、原発再稼働に舵を切り、国民の期待を完全に裏切りました。
 
 2012年末に総理に就任した安倍晋三氏は、当然再稼働支持派です。ただし、総理就任後しばらくは、原発をどこまで増やすのかについては、一切言及しませんでした。当時の反原発の世論の強さを理解して、タイミングを計っていたのです。
 安倍総理は、原発の安全性について、専門家の集まりである原子力規制委員会の判断に従うと言って、自分は中立であるかのように装いました。一方で、欠陥だらけの規制基準を「世界一の安全基準」だと嘘をつき、世界一の安全基準に合格したから「安全」なのだというロジックで再稼働を進めていきます。
 
 再稼働という言葉に国民が驚かなくなると、いつの間にか、エネルギー基本計画で、原発は重要なベースロード電源として位置付けられました。しかし、同時に将来の原発比率を明らかにすることはしませんでした。
 そして1年後に2030年の原発比率を20~22%とすることに決めたのです。進め方が非常に巧妙で、大きな反対を呼び起こさないように細心の注意が払われました。
 今では、20~22%という数字は当たり前の数字として定着しています。事故直後の国民の気持ちとは正反対の状況です。
 
 
世紀の大ウソで誘致した東京五輪・パラリンピックでまた大ウソをつく安倍総理
 
 3月26日、福島県のJビレッジからスタートするはずだった聖火リレー。その後の中継点も、事故の傷跡など感じさせない整備された区域が中心でした。世界に「復興」をアピールする「だまし絵」を流させる企みだったのです。
 
 思えば、東京オリンピックは、安倍総理による福島原発事故に関する世紀の大ウソで誘致が決まりました。事故から2年半後の2013年9月のブエノスアイレスで開かれたIOC(国際オリンピック委員会)総会当時、「放射能は大丈夫か」と各国関係者や選手たちは心配している状況でした。
 そこで、安倍総理は一世一代の賭けに出ました。大ウソの演説で、各国の「説得」を試みたのです。
「フクシマについてお案じの向きには、私から保証をいたします。状況は、統御されています(アンダーコントロール)」「汚染水は、福島第一原発の0.3平方キロメートルの港湾内に、完全にブロックされています。」
 福島事故を矮小化して各国の不安感を取り除き、五輪を東京に持って来ることに成功したのです。
 
 あれから6年半。安倍総理は、再び、大ウソをつこうとしているのではないでしょうか。来年に延期が決まった東京五輪。開催に当たって、安倍総理はこう言うのでしょうか。
 「福島(被災地)が見事に復興した姿を世界中の皆さんに見ていただけることは、私の最も大きな喜びであります」
 いや、もしかすると、福島復興未達を隠すために、「復興五輪」は「コロナ克服五輪」にすり替えられているかもしれません。
 
 
嘘に嘘を重ねて進めた再稼働
 
 日本政府(経済産業省)と電力会社は、3つの嘘=神話を並べて原発を推進してきました。
 原発は安全。
 原発はクリーン。
 原発は安価。
 
 しかし、福島の事故で、安全でないこともクリーンでないこともはっきりしました。
 そして、原発は安全対策や廃炉費用などのコストが増える一方で、世界中で、風力や太陽光などのエネルギーの価格がどんどん下がり、原発は再生可能エネルギーよりもはるかに高い電力であるというのが、世界の常識となりました。
 3つの嘘は暴かれ、客観的には、神話は全て崩れているのです。
 
 しかし、原発事故直後から、経産省の官僚たちは、どうやって原発を維持し、さらにこれを増やして行くのかということを密かに検討し始めました。事故の収束さえ覚束ないときに、彼らは被災者のことなど眼中になく、どうしたら東電を守り、原発を再稼働に持って行けるのか。それだけを考えていたのです。
 
 彼らの戦略は周到で慎重なものでした。反原発の世論が強い間は、頭を低くし、反原発の人が喜ぶ「再エネ推進」を掲げることで、人々の心を鎮めようとしました。それが、固定価格買い取り制度(FIT)です。実は、世界市場で敗北した日本の太陽光パネルメーカーを助ける目的もあり、太陽光だけ40円/kwhを超える異常に高い価格での買取を実施しました。そのおかげで、日本だけは太陽光パネルの価格が下がりませんでした。もちろん、メーカーには経産省からの天下りが受け入れられています。
 
 この作戦は、後々原発維持のために非常に役に立ちました。日本では、いまだに、再生可能エネルギーは高いという神話が続いています。そして、九州電力管内などでは太陽光発電が「異常に」増えてしまい、出力抑制の口実に使われるようになりました。
 今後は、高コストを抑えるという名目で、出力抑制は当然であるかのような仕組みにどんどん変わって行きます。
 
 事故処理費用の拡大で、原発のコストはどんどん上がっているのですが、それも経産省は人々の目に触れないように様々な仕組みを作り、送電する際の託送料に上乗せして消費者に転嫁することなどに成功しています。
 
 今国会では、再生可能エネルギー支援などに使うための予算を削り、それを福島復興という名目で原発関連費用捻出のために流用することを認める法律を誰にも気づかれることなく成立させました。
 
 
それでも原発に赤信号?
 
 しかし、どんなに嘘を重ねても、原発には暗雲が漂っています。関西電力の不祥事、テロ対策施設建設の遅れによる運転停止、裁判所による稼働停止命令、原発輸出プロジェクト失敗の連続などなどです。
 そして、世界中で、太陽光や風力の電力価格が下がり、今や、原発よりもはるかに安くなったことが日本でも知られるようになりました。これが、国内でも、再エネ電力普及の決定打になりそうです。
 
 再エネの弱点だった供給の振れも、蓄電池価格の低下や、送配電技術の飛躍的向上などによりほぼ克服されています。もはや、原発は、経済合理性の観点からは正当化できなくなりました。
 原発に黄信号、いやほとんど赤信号が灯ったのです。
 
 しかし、それでも安倍政権が原発復活を諦めないのはなぜでしょうか。
 
 
安倍総理がローマ教皇についた大ウソ
 
 昨年11月、フランシスコ教皇が訪日しました。
 共同記者会見で教皇が、日本が核兵器禁止条約に参加していないことを暗に批判しつつ、唯一の被爆国として核廃絶に真剣に取り組むように求めたのに対して、安倍総理は、堂々とこう述べました。
 「唯一の戦争被爆国として、核兵器のない世界の実現に向け、・・・国際社会の取り組みを主導していく使命を持つ国」「これは私の揺ぎ無き信念」
 
 しかし、安倍総理は、2002年、早稲田大学におけるシンポジウムで、「憲法上、原子爆弾でも問題ない。小型であれば」と発言しています。核廃絶どころか小型原爆を肯定しておきながら、何が「揺ぎ無き信念」なのか。教皇に嘘をつくとは。
 恥を知れと言いたくなります。
 
 ここまで来れば、よくわかると思います。
 
 安倍総理の本当の野望は何か。私は、2014年に出版した「国家の暴走」(角川新書)の中でこう書きました。
――「日本を取り戻す」という安倍総理の言葉が目指すところは、経済・軍事両面で欧米列強に並びかけた戦前の日本、しかないだろう」――
 今もこの考え方は間違っていなかったと思います。
 憲法改正が安倍総理の悲願だと人は言いますが、それは、野望を実現するための一つの通過点に過ぎないのではないでしょうか。安倍総理は、軍事力を背景としてトランプ、プーチン、習近平氏らとともに、世界の仕切り役として肩を並べたいのです。
 そのためにどうしても欠かせないのが最低限、核兵器をすぐに作れる能力の温存。
 だから、電力会社が核の技術を維持してくれないと困るのです。
 そう考えれば、原発を諦めない安倍政権の姿勢には合点が行きます。
 
 
年々ブラッシュアップされる官邸官僚の嘘と騙しのテクニック
 
 世界の流れに逆らい、事故を契機に高まった脱原発の国内世論を騙しながら、ここまで原発再稼働を進めることができたのは、ある意味驚異的なことです。
 その中で、最も大きな役割を担ったのが、現在の総理秘書官兼補佐官の今井尚哉氏です。彼は、資源エネルギー庁次長として、経産省の原発再稼働戦略を民主党政権に振り付け、関西電力大飯原発の再稼働に反対する橋下徹大阪市長を裏で説得するなど、まさに原子力ムラの司令塔的な役割を果たしました。
 
 今や、閣僚よりもはるかに力を持ち、安倍総理に対して最も大きな影響力を持つ今井氏は、新型コロナウィルス対策で安倍総理の突然の休校宣言を主導しました。ブエノスアイレスの大ウソ発言もまた、同氏のプロデュースだったはずです。
 
 当面は、コロナと五輪が安倍政権の中心課題になるでしょうが、そうした混乱期こそ、人知れず、原発推進に向けた政策が仕込まれて行くのに注意しなければなりません。
 今井氏の周りには経産省中心に狡猾な官僚が集まり、今井氏への忠誠競争で、いかがわしい政策とそのプロパガンダに精を出しています。
 これからも、今井秘書官に支えられた安倍総理は、自らの野望の実現に向けて、核武装国家日本を目指し、そのために原発復活政策を続けて行くことでしょう。
 
 虚飾に彩られた新たな原子力ムラのモンスターと戦う私たちには、今まで以上の団結と覚悟が必要になっているのではないでしょうか。
 
 
 
古賀茂明 <プロフィール>
1955年長崎県生まれ。東京大学法学部卒、通商産業省(現・経済産業 省)入省。産業再生機構執行役員、経済産業政策課長、国家公務員制度改革推進本部事務局審議官など歴任、霞ケ関の「改革派の騎手」。2011年4月東京電力破綻処理策を提起、現職で『日本中枢の崩壊』(38万部)、 『官僚の責任』(42万部)を出版。同年9月退官、政策コンサルタント、TVコメンテーターなどとして活躍。安倍政権の報道弾圧批判が原因で15年3月テレビ朝日報道ステーション金曜コメンテーター降板。同年5月、外国特派員協会「報道の自由の友」賞受賞。『国家の暴走』、『日本中枢の狂謀』、『国家の共謀』など著書多数。週刊朝日、週刊プレイボーイ、週刊エコノミストなどにコラム連載中。DMMネットサロン「古賀茂明の時事・政策リテラシー向上ゼミ」主宰。
 
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