【2014/09/26】東京・官邸前 300個のお饅頭の行方は?

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また号泣してしまいました。
恒例のレポートをお届けします。
双葉町から避難されている70才を過ぎたお饅頭屋さんが、「どうせ、こんなの売れるわけねぇ。」と言いながら3年ぶりに作った300個のお饅頭の行方は?
次回は10月3日(金)です!
1003 再稼働反対!首相官邸前抗議!
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霞ヶ関駅から財務省交差点に向かって坂を登っていると、何やら臭い匂いが…。
「クサッ!何じゃこの匂いは??」
と思ったら、アレです…
銀杏でしたっ
霞ヶ関、官邸前、国会前周辺のイチョウ並木は、今、紅葉前の銀杏の時期。舗道には銀杏がたっくさん落ちています。
銀杏美味しいですよねぇ~大好きです!でも何であんなにナニ臭いんだろ…
今日は風が強い。飛ばされそうなほど強い風が官邸前・国会前にも吹いていました。しかも、けっこう冷たい風です。
国会前へ行くと、スピーチが終わりコールが始まっていました。反原連の方と当日手伝いのスタッフさんが、何人かでリレーしていきます。
いつも何回も聴いてきたコールですが、今日、あっと思いました。…暖かい。
もちろん、国会議事堂に向かって原発やめろ!と、怒りを込めて文句を言ってるわけですが…。でも、暖かいのです、とても。
怒りが少ないとか、口調が生ぬるいとか、そういうことではありません。
誰かを思いやる、励ましてる…そんな気持ちに包まれている様に聞こえたのです。
わぁ…と、思いました。
みんな、特に意識はしていないでしょうが、色々な思いをこめて叫んでるだろうなと…。もちろん原発反対の気持ちを込めてんだけど、なんというか…自分の人生への思いも込もってる様な…そんなコールに聴こえました。
人は誰だってそれぞれ色んなものを抱えて生きてますもんね。ここへ来てる人達だって、原発反対だけ叫んで日々、生きてる訳じゃないですもんね。
それで思い出した話が…
ちょっと余談みたいな感じですが、今日は《番外編》という事で、是非、この話を聞いてください。
~*~*
うちの地元、埼玉の騎西高校では双葉町から避難してきた人達を受け入れてますが、そこ騎西高校に、私の叔母がずっとボランティアに行っています。
(因みに、叔母は筋金入りの社会運動家で、保母さんをしながら、ずっと部落差別の闘いをしてきてて、311以後は原発反対のデモや大抗議にも良く参加しています。あ、もちろん、ここ、キンカン(金曜日の官邸前抗議行動)にも!)
その騎西高校で、70歳を過ぎた饅頭屋のお爺さんが避難生活を送っていました。職人気質の頑固なお爺さんで、避難してきてからはすっかり気力を失い、ボランティアさんにもなかなか心を開かない状態でした。
しかし、明るく真っ直ぐな雰囲気を持つ叔母には心を緩し、だんだんとうちとけてゆき、色々な話をするようになりました。
叔母は、そのお爺さんが饅頭屋さんだったと聞き、お爺さんに「もう一度お饅頭を作って、原発反対の集まりとかで売ってみない?」と何度も持ちかけたのですが、「饅頭を作る気なんてない。」と、お爺さんは固く断り続けてたそうです。
しかし、叔母がずっと、しつこくしつこく説得し続けた結果、ついに根負けし、じゃあ一度だけ作ってみるかという事になり、叔母と、お爺さんと、やはり騎西高校で避難生活を送ってる60代の女性も手伝い、約3年ぶりにお爺さんは饅頭を作ることになりました。
丁度、次の休みに原発関係の集会があったので、せっかくだから、作ったお饅頭をその集会へ持って行って売ってみようという事になりました。
当日。朝の5時から地元のふれあいセンターに集まった3人は、お爺さん秘伝のお饅頭を、300個も作りました。
そして、「どうせ、こんなの売れるわけねぇ。とっとと帰ってくるぞ!」と言うお爺さんを無理矢理引っ張って、3人は都内の原発反対の集会に、300個の饅頭を担いで出掛けたのです。
会場では予め申し込んでテントを借りるお金も無かったので、地面にビニールを広げ、そこに饅頭を並べて売ろうと用意し始めると、叔母の知り合いの方が自分のテントの端を使いなさいと声を掛けてくれました。3人はテントのテーブルの端っこに、持ってきた300個の饅頭のうちの何個かを並べ、「双葉町の方が今朝作ったお饅頭です~」と、売り始めたのです。
すると…
「あら、双葉町の方が作ったお饅頭?」
と饅頭を見に来た人達が、
「福島のかたが作ったお饅頭ですってよ~!」
「美味しいわよ~!」
と、どんどん周りに呼び掛けてくれ、そのうちお客があとからあとから集まってきて、300個もの饅頭は、なんと…瞬く間に売り切れてしまったそうです。
饅頭が次々に売れていく時、お爺さんの顔は、叔母が今まで見たことがない様な生き生きとした表情に変わっていきました。そして完売になった時にお爺さんは『信じられない…』という顔をしたそうです。
結局、饅頭を早々に売り切った3人は、デモにも参加し、「原発反対!」と声を上げながら街を歩き、会場を後にしました。
すっかり軽くなった鞄を抱え、会場を出て駅まで向かう中、嬉しくて嬉しくて仕方なかった叔母は、
「今日のお祝いにお寿司を食べて帰ろう!私にご馳走させて!」
と言い、3人は近くのお寿司屋さんに入りました。乾杯をし、お寿司を食べ始めると、お爺さんは…
「こんな美味い寿司は食べたことがない…」
とポツリ…。すると、饅頭作りを手伝った双葉町の60代の女性は、突然ワーワーと泣き出してしまったそうです。彼女は、騎西高校に避難してきてから、顔役としてずっと頑張ってきた…気丈な方でした。
お寿司を食べながらお爺さんは、本当に本当に嬉しそうな顔で、叔母に何度も「ありがとう、あんたのおかげだよ、ありがとう、ありがとう…」と言っていたそうです。
~*~*
わたしも後日、そのお爺さんが作ったお饅頭を食べました。しっかりした厚みのある皮で、こし餡とつぶ餡の半々ぐらいの餡が包まれている茶饅頭でした。
お世辞抜きで本当に美味しかった!
とても力強い味がしました。
お爺さんの、今まで生きてきた人生の、たくさんの思いが詰まっている様な…そんなお饅頭でした。
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【2014/09/19】東京・官邸前

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9月19日(金)の「再稼働反対!首相官邸前抗議!」のレポートをお届けします!
次回は9月26日(金)です!
詳細はこちら
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季節はどんどん流れ、すっかり日も短くなりました。会社を出ると、辺りはもう薄暗くなってます。
わたしは何故か、この日が短い方が好きで…夕暮れが早くなってくると、何とも言えない安心感の様なものに包まれるのです。友達はだいたい日が長くなってくる方が好きな子が多く、「会社出た時まだ明るいと、何だか得した気分!」って言ってるのですが…(笑)
そんな夕暮れの中、今日も金曜官邸前抗議へと向かいました~。
わたしが到着した時、国会前ではちょうどスピーチが始まっていました。
福島の方の思いを伝える女性。震える声で喋り出し、途中、声に詰まって話せなくなってしまいました。参加者の方々が「頑張れ!」と叫びます。涙ぐむ声でまた話し出す女性。
この光景も、官邸前抗議が始まった頃からのお馴染みの光景です。抗議やスピーチをする人が、泣きそうになって声が出なくなると、周りの人たちが「頑張れ」って声を掛けてくれる。ホント、ごくごく自然に…。ずいぶんと見馴れた光景になっちゃってるけど…すっごく暖かいですよねぇ。いつもこの周りから飛ぶ「頑張れ!」の声を聴くたび、わたしの心が、フワッとあったかいものに包まれるのです。
ドイツ人の男性がステージに上がりました。あ、あの人、さっき奥さんとベビーカーに乗った子供連れて歩いてた人だ!ベルリンからいらしたそうです!
ドイツ人の男性の隣に小柄な日本人の若い男の子が立ちました。
「…あ、僕は通訳で、ただここに立ってるだけですので…」
ドッとウケる参加者の方々(^^;(笑)
ドイツ人の男性がスピーチし始めました。
「私はベルリンでニュースレターの仕事をしています。5時間まえに妻と娘と成田空港に着いたばかりです。」
参加者の方々が歓迎の気持ちをこめて拍手します。
「今日この官邸前抗議に来て、私はとても感動しています。色んな人が来ているし、政党も1つではない。団結の意思をとても感じる。私もこのコミュニティの一員になりたい。」
「福島の事故は、とても悲しかった。福島から遠い場所にいる私達だが、気持ちはとても近かったです。」
「この抗議行動がここまで長く続いてるのにとても感動しています。この抗議行動が、これからも先も長く続き、そしてより大きくなっていきます様に。こういうコミュニティはとても大切だと思います。」
「原子力は超人的なテクノロジーです。しかし私達はスーパーマンではない。私達は人間が制御できるエネルギーを使うべきなのです。私達に原発いりません!」
そして日本語でもう一度…
「ワタシタチハ、ゲンパツハ、イリマセン」
参加者の方々から大きな拍手が起こりました。
続けてコールが始まります。反原連の原田さんが国会に向かって叫びます。「電力は足りてんですよ!嘘ついてまでやってんじゃねえぇぇ~~~!!!」そしてコール~。
仕立ての良さげなスーツを着た40代位のサラリーマンの男性が塀に寄りかかってコールしています。キャップをかぶった若い男の子、かなりのお歳を召したお婆ちゃん、ワンピースを着た若い女性、さっきのドイツ人の男性が言ってた様に、ホント、色んな人たちが来てるよなぁ。
つか、そこに立ってスマホ見てるサラリーマン、うちの部長にそっくりなんだけど…。(違うけど)
コールしてる国会前を今日も自転車隊の皆さんが列をなして颯爽と走って行きました。
ヒョウ柄のスカーフを巻いた女性が抗議の列に加わります。もうそろそろ夜はヒンヤリしてきたよね。
官邸前の方へ向かおうと歩いて行く途中、ゲリラカフェに寄りました。今日も身体に優しくて、とびきり美味しい食べ物と飲み物を用意してきてくれています。そこへ、リュックをしょった小柄な女性が「すみません、何か頂いていいですか?」と、覗きこんできました。「お昼食べてないからお腹すいちゃって…」と笑いながら「わぁ…どれも美味しそう…」と巨峰のタルトをいただき、塀に座りパクパクとあっという間に食べてしまいました。
グミ坂手前で、国会に向かって太鼓を叩いてるご婦人は今日もいらしています。ご婦人の前を通過する人に、必ず頭を下げています。すると、前の方から1人の女性が歩いてきました。ご婦人がその女性に向かって頭を下げると、女性はハタと立ち止まり、ご婦人に向かって両手を合わせて一礼し…去って行きました。
官邸前エリアでは最終コールが始まっていました。
と、目の前を、スタッフのMちゃんがスゴい勢いで走り去って行きました。しばらくすると、チラシの束を抱えてまた走って来ます。はぁはぁ息を切らしながら、「最後に配るチラシが足りなくなったんでインフォコーナーまで取りに走った!疲れた!」と笑顔で言い、小走りにグミ坂を上がって行きました。
最終コール終了~。いつものダラクさんの官邸に向けての抗議スピーチ!これを楽しみにしている参加者の方々も多いはず。みんな、聞き耳を立てて聴いてます。
「(前半略)おい!20ミリシーベルトで安全なんて言うなよな!そんなに原発好きならな、原発大好きなお前らが行って除染活動してこいよ!できんのか?できねーだろ?だったら原発も、総理大臣も、やめちまえぇぇ~!!!」
何やら丸くなって話をしていた3人組のおじさん達が、その「やめちまえぇぇ~!」の声に、当たり前の如く反応し、サッと振り向き官邸に向かって「そうだ!やめちまえ~!!!」と怒鳴りました。
うむ…そこは外さないのね…なるほど…さすがだわ…(^^;
グミ坂の途中で私も帰る参加者の方々を見送ります。
「お疲れ様でした~」と言ってると、常連の飴のおじさんがニコニコしながらやって来ました。いや、何で『飴のおじさん』かって、この方、毎週必ずいらして、帰りにグミ坂に立つスタッフさんに飴をくださるのです。私を見ると笑いながら「そんな暗いところに…(笑)」と言うので、「はい、わたし控えめなので…」(どこがや)
おじさんはもちろんそんなこと聞きもせずバックからガサガサと飴を取り出してます。
あれ…?バックに可愛いピエロのマスコットがぶら下がってる…。ピエロが大好きなわたしは思わず、
「わ!可愛い!ピエロだ!」
するとおじさんは、
「あ、これ?ここ来る途中、経産省前のテントでカンパしたら貰ったんだよ。手作りみたいだよ。欲しい?あげようか?」
「えっ…、いや、何か悪いなぁ…いただきます。」
(貰うんかいっ!)
おじさんのバッグから、わたしのとこへ来たピエロさん。早速、バッグにつけました~。わーい!
ピエロって、よく『本心を仮面で隠してる』ってことに例えられます。心の中では泣いているのに、顔にはおどけた仮面をつけ、笑っている。
みんなそうでしょう…。
あの震災後、ずっとそんな思いを抱いて生きている方々…たくさんいると思います。
そして、毎週金曜にここに集まってる参加者の方々も、スタッフさん達も…。
せめて、みんなの願いのひとつである『脱原発』が叶い、辛くても苦しくても笑って頑張ってきたみんなの笑顔が、本当になります様に…
そんな日が、必ず来ます様に…
『道化』 谷川俊太郎
笑っているのだ
泣いているとき
泣いているのだ
笑っているとき
涙はクリスタル
自分でも分からない 自分の
心の そのときの
その輝きの…

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【2014/08/30】川内原発再稼働やめろ! 0830再稼働反対★国会前大集会レポート その3(完結編)

2014年8月30日に行われた「川内原発再稼働やめろ! 0830再稼働反対★国会前大集会」のレポート完結編をお届けします!
その1はこちら。
その2はこちら。
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財務省交差点へ向かって歩いていると、途中、若い男の子が、舗道の端に立ち、道路を面して国会議事堂に向かってプラカードを掲げていました。そして、最終コールに合わせ、そびえ立つ国会議事堂へ向かってコールしていました。
「原発もろともお前もやめろ!」
「子供を守れ!」
「そのために原発全てやめちまえ~!!!」
抗議終了です。
ぞろぞろと帰路につく参加者の方々を見送っていると、松葉杖をついた奥様と一緒に歩いてきた旦那様が「2人分です」と言ってカンパして下さいました。「ありがとうございます、お疲れ様でした!」と頭を下げると、奥様もニッコリ。二人はまたゆっくりゆっくり歩いて行きました。
と、段ボールを持った何人かの男性がやってきて、「お疲れ様でした~」と言いながら、何やら帰る参加者の方々に配り始めてます。
あれ…?もしや、あれは……
あの団扇だー!!!
(と、次の瞬間には走って貰いに行ってるわたし…)
わーいわーい!ゲットしたー!(良かったね…)つい最近、発行された『NO NUKES Voice』という本のPR団扇でした!カッコいい~!
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参加者の方々が帰られた後は、反原連の方々や当日スタッフさん達での後片付けが始まります。
機材をまとめ、数を確認、ビニールシートやテーブルを畳み、皆さんの暖かい志のカンパもまとめます。備品を揃え確認し、ゴミを拾い、開始前と同じように…いや、それ以上に綺麗にして帰ります。
今回、ふと思って、ああ…って凄く納得したことがあります。反原連の人達って…完全に裏方なんだなあって。も、ホントに裏方雑用係みたいな立場。いわば主役は、集まってくる参加者の方々…というスタンスなんですよね。その人達の為に、場所を整え、準備をし、当日は神経を張り巡らせトラブルが無いように気を使い、終わった後は後片付けと掃除と反省会。そしてまた、次の抗議の準備をしていく…。なるべく、参加される方々の意図を組むように図り、時には調整し、逸脱した行為には注意をする。
とにかく、目的はただひとつ…『全ての原発を無くすこと』。それだけの為に、一年中、裏で雑務をこなしている人達。
だからこそ…ここまで続いているんだと思います。参加者も信頼して、ずっと集まってくるのだと…。
今日も見ず知らずの人達が、原発をなくしたいっていう一点で集まりました。この後ろにはこの倍以上の原発反対の人達がいます。
今日は予想外な人出でした。そして、凄く盛り上がったし、それより何より私には、全体的に何だかとても温かな空気が流れているように感じられたのです。そしてそれが凄く良い時間を作った様に…。うまく言えないんだけど、誰かが誰かを思いやるような…そんな優しい空気が流れていたように思えたのです。
抗議が始まる前に、公園から流れてきた『明日に架ける橋』…この歌を後でふと思いだし、歌詞を改めて調べてみたら…泣けました。
ああ…、本当にこの歌詞の様な抗議集会になったなぁ…って。
この歌詞を頑張ってる皆さんに捧げたい。
『明日に架ける橋』
君が疲れ果て 途方にくれて 涙もこぼれ落ちてくるようだったら
僕がその涙をふいてあげよう 僕がそばにいるから
人生が大変で辛いとき 友達も見つからないようなとき
激流に架かる橋のように 僕が君の支えになるから 僕が君を助けるから
君が落ち込んで希望も失って 一人立ち尽くすようなとき 辛い夜を過ごすようなときも
僕が慰めてあげよう 僕はいつも君と一緒だよ
たとえ先が見えないような時も 辛いことだらけになったとしても
荒れ狂う河に架かる橋のように 僕がきっと何とかしてあげるから 僕がきっと君を助けだすから
さあ 可能性に向かって立ち上がろう 一歩足を踏み出そう
今 君の光を発揮するときが来たんだ 君が望んでいた世界がもう目の前にあるんだ その輝く未来に目を向けてみてごらんよ
そしてまた友達が必要なら 振り向けばいつも僕がいるさ
人生がどんなに大変なことにみえようとも 僕が何とかするから
人生がどんなに大変なことになっても 僕が君の支えになるから 大丈夫だから
一人で立ってるけど一人じゃないよ。
共に行こう…
お疲れ様でした~!!
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【2014/08/30】川内原発再稼働やめろ! 0830再稼働反対★国会前大集会レポート その2

2014年8月30日に行われた「川内原発再稼働やめろ! 0830再稼働反対★国会前大集会」のレポート その2をお届けします!
その1はこちらからどうぞ!
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さてさて、ステージでは切腹ピストルズの皆さんの演奏が始まりました!実はこの方達の演奏をちゃんと聴くのは初めて!
壇上に上がったメンバーの一人が独特の語り口調で喋り始めました。
「今日も我々は皆さんの聖地に参上いたしましたぁ~!」
おおっ!ここでも聖地とな!
「これはもう『一揆』でございます!『一揆』のもともとの語源は一つになる、ひとつになるという事でございます!」
「昨日私の枕元に昔の人がたくさんたくさん立ちました!そして私にこう言います。『おいおい君たちいったい何をやってんだ。わたしはこんな平成にするつもりで頑張ったつもりはない!君らいっそのこと江戸時代からやり直したまえ!』」
参加者の方々、大笑い。一気に空気が熱く盛り上がっていきます!
演奏が始まりました!これがまた、何というか…和と洋との傑作コラボレーションというか…激しいリズムにみんな大盛り上がり!
歌の後は、青森県の大間原発の反対運動に参加してきた時の話。
原発誘致者が、地元の住民宅に足繁く訪れ、世間話をしながら、じわじわと賛成させてく手口。気がついた時には、反対できなくなる『囲い』を作っていく手口。地元の人達は言っていたそうです。「原発の誘致によって、土地の人間がバラバラにさせられる…」
そして最後の演奏、八木節をもじった『ヤケ節』!(^^; 夏祭りの様なお囃子の、アップテンポな激しい演奏!カッコいい~!
日も暮れてきた国会前で、切腹ピストルズの演奏を聴きながら、「今、わたし、今年一番夏っぽい雰囲気味わってるかも…」と思い、ちょっとだけ嬉しくなりました。

(youtubeで映像を見つけたので掲載します:編集者より)
ステージを横切って、桜田門方面への舗道を歩いていくと、真っ暗な舗道にキラキラと光るモノがあります。近寄って見ると、何人かの参加者の方々が持ってきた、お手製のランプでした!
皆さん、夜の抗議の為に、こうした光るモノをよく手作りして持ってこられますが、今日のこのランプもとても綺麗!
「綺麗ですね~。写真撮ってもいいですか?」
と聞くと
「どうぞどうぞ!」
と皆さんニコニコ。
1人のおじさんが
「昔のチラシを縮小コピーして100均で買ってきたセロハンと貼ったんだよ!」
と説明。
「凄いなぁ~」
と言うわたしに
「色が綺麗でしょ?綺麗な色合いの方が暗い中にいいかなって…」
街灯のない真っ暗な舗道で、手作りのランプはきらきらきらきら…温かく光っていました。
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横断歩道を渡って対岸へ向かいました。
対岸の舗道でも、いつも以上にたくさんの人達!向かい側から聴こえてくるスピーチを真剣な表情で聴きながら、時々「そうだ!」と声をあげています。こちら側も、何か…独特の熱気に包まれています。
若い男の子がわたしの前を早足で通りすぎた後、ハタと立ち止まり引き返して来ました。そして、ポケットからお金を出すと「あの…カンパします。お疲れ様です、ありがとうございます。」と言い、ペコリとお辞儀をしてまた去って行きました。
ステージの方へ戻ろうと横断歩道を歩いてると、前を歩くご婦人達が国会の上を指差し、「ねぇ、ほら見て。国会の上に三日月が出てるわ。」
見上げると、本当に国会の斜め上に綺麗なお月様…
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国会前ステージは相変わらず盛り上がっています。ブース内では、進行役を始めとするスタッフさん達が、流れをスムーズにする為にテキパキと動いています。
参加者の足も途絶えません。帰る人、来る人…人の往き来が盛んです。
何か凄くいい雰囲気。静かな強い、そしてあたたかい空気。
もう何だか、今年の夏最後の、最高の夜祭りって感じだね…。素敵だな…。ここに集まってきた人達の、原発を無くそうという気持ち、福島を思う気持ちが、本当にあたたかく…国会前を包んでいる様に感じました。
ステージでは代わる代わるスピーチが続いています。
「長時間の避難バスの移動で亡くなった方がたくさんいるのです。狭いところに避難させられて、亡くなった方もたくさんいるのです…」
「52.5万tの汚染水。この間、作業員の方が二人亡くなりました。こんな状態で再稼働なんて狂気の沙汰です!」
「母親はみんな同じ気持ちです。世界の何処にも原発はいらないんです!みんなで子供を守りましょう。環境も人間も、守っていかなきゃいけないんです!」
そしてスピーチのラストを飾るのは、官邸前抗議ではすっかりお馴染みのお婆ちゃん、斎藤さんです。
「ここにいらっしゃるお巡りさんもきっと原発に反対だと思います。是非、非番の際は、私服を来てコチラ側へ入ってください。」
ドッと湧く参加者の方々!
「みんなで、安倍の暴走を蹴飛ばしていこうじゃありませんか」
相変わらずの力強いスピーチ…素晴らしい…。
そしてミサオ・レッドウルフさんの「1日も早く、こういうことをしなくてすむ様に…」というコール前の挨拶を背に、わたしは帰る皆さんを見送るため、財務省交差点へと引き返しました。
その3(完結編)を読む