また号泣してしまいました。
恒例のレポートをお届けします。
双葉町から避難されている70才を過ぎたお饅頭屋さんが、「どうせ、こんなの売れるわけねぇ。」と言いながら3年ぶりに作った300個のお饅頭の行方は?
次回は10月3日(金)です!
1003 再稼働反対!首相官邸前抗議!
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霞ヶ関駅から財務省交差点に向かって坂を登っていると、何やら臭い匂いが…。
「クサッ!何じゃこの匂いは??」
と思ったら、アレです…
銀杏でしたっ
霞ヶ関、官邸前、国会前周辺のイチョウ並木は、今、紅葉前の銀杏の時期。舗道には銀杏がたっくさん落ちています。
銀杏美味しいですよねぇ~大好きです!でも何であんなにナニ臭いんだろ…
今日は風が強い。飛ばされそうなほど強い風が官邸前・国会前にも吹いていました。しかも、けっこう冷たい風です。
国会前へ行くと、スピーチが終わりコールが始まっていました。反原連の方と当日手伝いのスタッフさんが、何人かでリレーしていきます。
いつも何回も聴いてきたコールですが、今日、あっと思いました。…暖かい。
もちろん、国会議事堂に向かって原発やめろ!と、怒りを込めて文句を言ってるわけですが…。でも、暖かいのです、とても。
怒りが少ないとか、口調が生ぬるいとか、そういうことではありません。
誰かを思いやる、励ましてる…そんな気持ちに包まれている様に聞こえたのです。
わぁ…と、思いました。
みんな、特に意識はしていないでしょうが、色々な思いをこめて叫んでるだろうなと…。もちろん原発反対の気持ちを込めてんだけど、なんというか…自分の人生への思いも込もってる様な…そんなコールに聴こえました。
人は誰だってそれぞれ色んなものを抱えて生きてますもんね。ここへ来てる人達だって、原発反対だけ叫んで日々、生きてる訳じゃないですもんね。
それで思い出した話が…
ちょっと余談みたいな感じですが、今日は《番外編》という事で、是非、この話を聞いてください。
~*~*
うちの地元、埼玉の騎西高校では双葉町から避難してきた人達を受け入れてますが、そこ騎西高校に、私の叔母がずっとボランティアに行っています。
(因みに、叔母は筋金入りの社会運動家で、保母さんをしながら、ずっと部落差別の闘いをしてきてて、311以後は原発反対のデモや大抗議にも良く参加しています。あ、もちろん、ここ、キンカン(金曜日の官邸前抗議行動)にも!)
その騎西高校で、70歳を過ぎた饅頭屋のお爺さんが避難生活を送っていました。職人気質の頑固なお爺さんで、避難してきてからはすっかり気力を失い、ボランティアさんにもなかなか心を開かない状態でした。
しかし、明るく真っ直ぐな雰囲気を持つ叔母には心を緩し、だんだんとうちとけてゆき、色々な話をするようになりました。
叔母は、そのお爺さんが饅頭屋さんだったと聞き、お爺さんに「もう一度お饅頭を作って、原発反対の集まりとかで売ってみない?」と何度も持ちかけたのですが、「饅頭を作る気なんてない。」と、お爺さんは固く断り続けてたそうです。
しかし、叔母がずっと、しつこくしつこく説得し続けた結果、ついに根負けし、じゃあ一度だけ作ってみるかという事になり、叔母と、お爺さんと、やはり騎西高校で避難生活を送ってる60代の女性も手伝い、約3年ぶりにお爺さんは饅頭を作ることになりました。
丁度、次の休みに原発関係の集会があったので、せっかくだから、作ったお饅頭をその集会へ持って行って売ってみようという事になりました。
当日。朝の5時から地元のふれあいセンターに集まった3人は、お爺さん秘伝のお饅頭を、300個も作りました。
そして、「どうせ、こんなの売れるわけねぇ。とっとと帰ってくるぞ!」と言うお爺さんを無理矢理引っ張って、3人は都内の原発反対の集会に、300個の饅頭を担いで出掛けたのです。
会場では予め申し込んでテントを借りるお金も無かったので、地面にビニールを広げ、そこに饅頭を並べて売ろうと用意し始めると、叔母の知り合いの方が自分のテントの端を使いなさいと声を掛けてくれました。3人はテントのテーブルの端っこに、持ってきた300個の饅頭のうちの何個かを並べ、「双葉町の方が今朝作ったお饅頭です~」と、売り始めたのです。
すると…
「あら、双葉町の方が作ったお饅頭?」
と饅頭を見に来た人達が、
「福島のかたが作ったお饅頭ですってよ~!」
「美味しいわよ~!」
と、どんどん周りに呼び掛けてくれ、そのうちお客があとからあとから集まってきて、300個もの饅頭は、なんと…瞬く間に売り切れてしまったそうです。
饅頭が次々に売れていく時、お爺さんの顔は、叔母が今まで見たことがない様な生き生きとした表情に変わっていきました。そして完売になった時にお爺さんは『信じられない…』という顔をしたそうです。
結局、饅頭を早々に売り切った3人は、デモにも参加し、「原発反対!」と声を上げながら街を歩き、会場を後にしました。
すっかり軽くなった鞄を抱え、会場を出て駅まで向かう中、嬉しくて嬉しくて仕方なかった叔母は、
「今日のお祝いにお寿司を食べて帰ろう!私にご馳走させて!」
と言い、3人は近くのお寿司屋さんに入りました。乾杯をし、お寿司を食べ始めると、お爺さんは…
「こんな美味い寿司は食べたことがない…」
とポツリ…。すると、饅頭作りを手伝った双葉町の60代の女性は、突然ワーワーと泣き出してしまったそうです。彼女は、騎西高校に避難してきてから、顔役としてずっと頑張ってきた…気丈な方でした。
お寿司を食べながらお爺さんは、本当に本当に嬉しそうな顔で、叔母に何度も「ありがとう、あんたのおかげだよ、ありがとう、ありがとう…」と言っていたそうです。
~*~*
わたしも後日、そのお爺さんが作ったお饅頭を食べました。しっかりした厚みのある皮で、こし餡とつぶ餡の半々ぐらいの餡が包まれている茶饅頭でした。
お世辞抜きで本当に美味しかった!
とても力強い味がしました。
お爺さんの、今まで生きてきた人生の、たくさんの思いが詰まっている様な…そんなお饅頭でした。