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首都圏反原発連合:ステートメント 【福島第一原発のトリチウム汚染水海洋放出の政府方針決定を受けて】
Posted on by 反原連 on 4月 21st, 2021 | 首都圏反原発連合:ステートメント 【福島第一原発のトリチウム汚染水海洋放出の政府方針決定を受けて】 はコメントを受け付けていません
首都圏反原発連合:ステートメント【福島第一原発のトリチウム汚染水海洋放出の政府方針決定を受けて】
2021年4月13日、政府は関係閣僚会議を開き、福島第一原発で発生し敷地内タンクに保管されている、放射性物質トリチウムを含むALPS処理水の処分方法について、海へ放出する方針を決定しました。全漁連の反対だけではなく全国的に反対意見が圧倒的多数であり、昨年10月の決定は見送られましたが、海洋放出ありきで行われてきた議論の通りに決定してしまいました。国内だけではなく、海外からの批判も多数の中、首都圏反原発連合も引き続き海洋廃棄反対を訴え、タンク保管継続、モルタル固化方式、トリチウム除去の技術の採用などを求めます。
原子力ムラはトリチウムについて「放射線が弱い」「自然界にも存在する」「通常の原発でも基準値を満たせば海洋放出している」などと、海洋放出を肯定するためのプロパガンダを打っています。また、海洋放出決定後には復興庁が「原発の処理水が復興の妨げになる」と、トリチウム安全キャンペーンを展開しました。しかし、多額の制作費をかけトリチウムをゆるキャラとして表現したことなどに批判が集中した結果、それを取り下げキャンペーンを仕切り直すことになりました。原子力ムラや政府は、どこまで国民意識から乖離し非常識であるのでしょうか。
政府は2年後の実施を示唆していますが、そもそも、原子力ムラや政府が言うところの「ALPS処理水」には、2次処理しても取り除けないトリチウム以外の12の核種があることを、2020年12月に東京電力が公表しています。このように、現存する「ALPS処理水」は実際には「トリチウム水」ではなく、「トリチウムと12の核種を含む放射能汚染水」であり、このままの状態では廃棄できないことがわかります。また、通常の原発排水と原発事故由来の核種を含む水の違いについても多くの識者が指摘しており、「通常の原発でも基準値を満たせば海洋放出している」というプロパガンダは論理的にも脆弱です。
しかし、仮に「トリチウム水」になるまで処理できても、海洋廃棄は許されません。原子力ムラは「風評被害」のみ取り扱うことで「実害」問題を矮小化したいのでしょうが、トリチウムの安全性を科学的に完璧に証明できなければ、理解をえることはできません。麻生大臣が「飲んでもなんてことないそうだ」と発言していますが、科学的論拠に乏しく、加えて、失言を繰り返し国民からもっとも信頼されていない政治家のひとりが訴えても、心を動かされる人は皆無に等しいのではないでしょうか。全てにおいて反知性的であるとしか言えません。
政府は、IAEA(国際原子力機関)の基準値を満たした上で放出するとしていますが、この機関は原発推進であることから、その基準値を信頼することはできません。人類は原発の安全神話を信じ、推進してきたという過ちを犯しています。完全に証明されない安全性については懐疑し、予防原則にのっとり予防的措置を講じるべきです。この度、政府は海洋放出方針を決定しましたが、圧倒的世論は反対です。開始予定までまだ2年間あります。今後とも引き続き、「トリチウム汚染水の海洋放出反対」の世論を更に高め、実施を阻止すべく声をあげていきましょう。
2021年4月22日
首都圏反原発連合 - Metropolitan Coalition Against Nukes –
<関連>
首都圏反原発連合:ステートメント 【福島第一原発のトリチウム汚染水の処分方法について】(2020年10月31日)