首都圏反原発連合:ステートメント【3.11福島第一原発事故から10年をむかえて】

Posted on by on 3月 9th, 2021 | 首都圏反原発連合:ステートメント【3.11福島第一原発事故から10年をむかえて】 はコメントを受け付けていません

首都圏反原発連合:ステートメント【3.11福島第一原発事故から10年をむかえて】
 
 東日本大震災と、それにより引き起こされた人災である、福島第一原発事故から10年もの月日が流れました。震災や原発事故関連でお亡くなりになった皆様に、哀悼の誠を捧げます。また、被災された皆さま、いまだに避難生活を余儀なくされている、原発事故の直接的被害を受けた皆さまに、心よりお見舞いを申し上げます。
 
 安倍前首相は東京五輪誘致のために「福島原発事故はアンダーコントロール」と、世界に向け虚偽の発信をしましたが、実際には、廃炉作業もトラブル続きで計画通りに進まず、溜まり続けるトリチウム汚染水の処理も行き詰まっている状況です。また、放射能汚染によりいまだに故郷に戻れない、自主避難者を含む避難者は10万人とも言われてます。現在、コロナ感染症のために開催が危ぶまれている東京五輪は「復興五輪」と銘打たれていますが、いぜんとして放射線量の高い原発事故の被災地や、避難者を取り残した状況で、東北全域が復興したとは言えません。
 
 2011年の福島第一原発事故後、日本全国で脱原発の世論が高まり、多くのデモや集会が行われ、当時の民主党政権は世論に寄り添い「2030年代原発ゼロ」政策を決めましたが、政権交代後、第二次安倍政権はエネルギー基本計画で「原発は重要なベースロード(基幹)電源」と定め、原発推進に戻してしまいました。しかし、事故の経験から、多くの人々は原子力発電所は危険性が高いことに気づき、最近の世論調査でも、76%もの人々が脱原発を望んでいると発表されています。この世論がエネルギー政策に反映されていないという事実は、民主主義国家としての機能低下をもあらわしています。
 
 先日、ドイツでは、環境大臣がドイツの2022年脱原発は順調に進んでおり、各国にも原発の使用をやめるよう求めたいと発言しました。また、電力4社に脱原発に伴う損失に対する補償をすることを決めました。いっぽう日本では、菅首相が2050年カーボンニュートラル宣言をしたことで、CO2を出さない原発を増やすべきだと推進派や与党の族議員が声高になっており、前政権さえ世論の反発を配慮しエネルギー基本計画に入れなかった、増設やリプレイスを入れようと躍起になっています。原発事故を起こした日本こそ、世界の脱原発をリードすべきところ、国際的にも非常に恥じ入るべき状況ではないでしょうか。
 
 原発事故から10年。被害者には10年の区切りはなく、原発事故はいまだに続いているといえるのではないでしょうか。いま政治がすべき勇断は、原発を止めることです。原発を動かしている限り、再び福島第一原発事故のような過酷事故が起こる可能性があるのです。大飯原発差し止め訴訟で樋口裁判長が、判決において「国富とは何か」を鋭く示唆されました。現政権はこの言葉を胸に刻み、原発ゼロ政策を決断し、ただちに全原発の廃炉計画を具体化するべきです。いつか原発はなくなるという論調もありますが、いますぐ廃炉を始めなければ、原発の電力の恩恵を全く受けていない、次世代に負の遺産を残すことになりかねません。
 
 人類はこれまで、自然などの地球環境にはぐくまれ繁栄してきました。繁栄の背景には、人類の知能による文明や発明の影響が大きく、いまや、地球の覇者であるかのようなおごりがあるのではないでしょうか? 21世紀の時代を迎えたいま求められるのは謙虚な姿勢で、今後のさらなる繁栄を知性的に求めるのであれば、自然環境や人類を含む生物の生命を脅かす核を扱うことを諦めるべきです。人類と核は共存できません。原発事故から10年、私たちは、大人の責任範囲として、原発の即時ゼロを強く希求し、できうる限りの行動をしてゆくことを改めて心に誓います。2021年が「原発廃炉時代」の幕開けとなるよう、尽くしてまいりましょう。
 
2021年3月11日 
首都圏反原発連合 - Metropolitan Coalition Against Nukes –
 
 
 
 
 
 
 

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