首都圏反原発連合:ステートメント【第5次エネルギー基本計画について】

Posted on by on 7月 4th, 2018 | 首都圏反原発連合:ステートメント【第5次エネルギー基本計画について】 はコメントを受け付けていません。

首都圏反原発連合:ステートメント【第5次エネルギー基本計画について】

 
 
 首都圏反原発連合は、2018年7月3日に閣議決定された「第5次エネルギー基本計画」に対し強く抗議します。この基本計画では、再生可能エネルギーを主力電源としながらも、第4次基本計画と変わらず原発を「重要なベースロード電源(基幹電源)」とし、原発維持・推進を継続しています。2011年の福島原発事故の甚大な被害と、圧倒的な脱原発世論を無視した閣議決定と言えます。
 
 基本計画では、原子力の位置付けを「国内保有燃料だけで生産が維持できる低炭素の準国産エネルギー源」としていますが、原発の燃料は100%輸入に頼るウランです。使用済核燃料を再処理することを前提に「準国産」としている偽りの「準国産」であり、しかも再処理も実現しておらず、これはエネルギー自給率を上げる目標のために原発は重要だと示すための、詭弁でしかありません。
 
 また、電源構成比率も第4次基本計画と変わらず、2030年の電源構成における原発の比率を20~22%としており、これを実現するには既存原発の稼働はもとより、原発の新設をしなければ達成は難しいのですが、脱原発世論の圧力で原発の新規建設を盛り込めなかったので、この数値は非現実的です。実際、現在の原発による発電比率はわずか2%程度にとどまっており、原発を基幹電源とすることには無理があります。一国のエネルギー政策としては杜撰であるとしか言えません。
 
 核燃料サイクル政策についても、「利用目的のないプルトニウムは持たないとの原則を引き続き堅持し(中略)プルトニウムの適切な管理と利用を行う」とし、プルサーマル推進の理由に当てています。日本と原子力協定を結ぶアメリカでも、日本のプルトニウムの保有を懸念する世論も強く、米議会内でも根強い疑念があり、また中国などもそれを危険視している中、いかなる目的であれ、プルトニウムの保有はするべきではなく、すでに破綻している核燃料サイクルをやめるべきなのは言うまでもありません。
 
 基本計画の内容についての問題点は多々ありますが、取り分け、国民にとって大事なエネルギー政策の決定プロセスには問題があります。パブリックコメントの結果発表翌日に、簡単に閣議決定されて良いものでしょうか。パブリックコメントには「署名」として53,403件もの脱原発の意見が寄せられており(*注)、3.11福島原発事故以降は、世論においても脱原発が圧倒的です。国民的議論とそれを反映した国会での審議が必要ではないでしょうか。
 
 基本計画の「第1節 基本的な方針」には「エネルギー政策の要諦は、安全性(Safety)を前提とした上で」とあり、全文を通して安全性を強調しています。しかし、原子力規制委員会による世界最高水準の審査を受けたとされる原発にも、多くのトラブルが発生しており、今後も福島原発事故のようなことが起こらないとは誰にも保証できません。
 
 再生可能エネルギーの主力のひとつ太陽光についても「発電コストが高く」としていますが、海外では太陽光発電のコストは年々下がってきており、再生エネルギーの潮流が大きくなっています。また、再生エネルギーの比率を22~24%としていますが、目標が低すぎます。この目標数値は現在の世界の平均であり、2030年には更に再生エネルギーの比率が高まることをまったく無視しており、再生エネルギーを抑え込み、原発ありきの計画になっています。
 
 世界の再生エネルギーの驚異的な普及と低コスト化の潮流を無視して、なんとしても原発と核燃料サイクル政策を維持することを前提とした不実なこの計画を、私たちは認めるわけにはいきません。首都圏反原発連合は、第5次エネルギー基本計画に対して抗議すると同時に、ただちに「原発ゼロ・再生可能エネルギー推進」の政策に転換することを、政府に対し強く求めます。 
 
2018年7月4日 首都圏反原発連合 – Metropolitan Coalition Against Nukes –
 
 
(*注)
 2018年7月2日に資源エネルギー庁が公表した「第5次エネルギー基本計画策定に向けたパブリックコメントの結果について」において、「意見提出数:1,710 (内訳:e-Gov、FAX、郵送:1,708/署名:2(それぞれ 49,276 人、4,127 人)」とされています。
 内訳に「署名」という項目がありますが、これは2018年5月23日に首都圏反原発連合含む6団体で共催した集会「『エネルギー基本計画』署名合同提出・院内集会/原発ゼロ・自然エネルギー社会を求める市民の声」(http://coalitionagainstnukes.jp/?p=11019)にて、2種類の署名を経産省と内閣府に提出したもので、資源エネルギー庁の担当者と、「署名の筆数をパブリックコメントの意見提出数に加算すること」を要請し交渉した結果です。
 交渉では要請を受け入れるとのお返事をいただきましたが、公表された結果では、署名の筆数は書かれているものの「署名:2」とされ、2件ぶんとしか取り扱われていませんでした。なぜ、このような処理になったのか担当者に問い合わせましたが、納得できる理由を聞くことはできませんでした。
 しかし、東京新聞がパブリックコメントに寄せられた署名に着目し、2018年7月3日の朝刊に「エネ基本計画案 意見公募 脱原発53000人署名」という見出しの記事を出したことで、脱原発の声がどれだけ大きいかということを可視化することができました。
 
<参考>
第5次エネルギー基本計画
http://www.enecho.meti.go.jp/category/others/basic_plan/pdf/180703.pdf
第5次エネルギー基本計画策定に向けたパブリックコメントの結果について
http://search.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000175672
 
 
 
 
 
 
 
 

« NO NUKES PRESS web Vol.006(2018/06/25)
»