NO NUKES PRESS web Vol.024(2019/12/26)

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NO NUKES PRESS web Vol.024(2019/12/26)
 
Dialogue:ピーター・バラカン X 武田砂鉄
 
「『復興五輪』という四文字自体があり得ないはずです。」
「騙すために作った言葉としか思えない。」

 
2020年のNO NUKES PRESS webは、3.11福島原発事故前からNO NUKESを訴えるピーター・バラカンさんと、気鋭のライター武田砂鉄さんの対談で幕開けです。いまの社会の問題やムードなど、おふたりに語っていただきました。


【NO NUKES PRESS web Vol.024(2019/12/26)】Dialogue:ピーター・バラカン @pbarakan X 武田砂鉄 @takedasatetsu 「『復興五輪』という四文字自体があり得ないはずです。」「騙すために作った言葉としか思えない。」https://pic.twitter.com/gucYPT5d7E http://coalitionagainstnukes.jp/?p=13358

 
 

ー福島原発事故と東京五輪ー 
 
武田:東日本大震災が発生した時、自分はまだライターとして独立する前で、国立競技場の近くにある出版社に勤めていました。競技場の隣にある明治公園に避難したんですが、そこに普段あまり見かけない高齢の方々がたくさん逃げて来ていたんです。どこから来たんだろうと思ったら、公園の向かい側にある都営霞ケ丘アパートに住んでいる人たちでした。1964年の東京オリンピックを契機に建設された歴史の長い都営アパートです。アパートの中に小さな商店街もあり、そのコミュニティの中で生きてきた人たち。
 
日頃、そのあたりで働いていても、そういう人たちの息づかいをさほど感じずにいたんですが、震災が起きた後で、そうか、このアパートにはこれだけたくさんの人たちが住んでいたんだと驚いたわけです。で、その霞ヶ丘アパートが、2020年東京オリンピックにあわせて建設された新国立競技場のために、潰されたんですね。その潰され方がなかなか酷い。まずは紙ペラがポストに入っていた。ここには住めなくなります、と。
 
バラカン:そんなに簡単に住人を追い出せるものなんですか?
 
武田:もちろん、明日すぐに出ていけ、という話ではないですし、別の住まいは用意されます。老朽化しているし、エレベーターもない、不便なアパートに見えますが、でも、住人は長年、そのコミュニティで生きてきた。住民の間から反対運動が起こり、少し取材をしたのですが、結果的には、跡形もなく潰されてしまった。明治公園もなくなりました。あの公園は、それこそ、反原発デモのスタート地点にもなりました。
 
バラカン:2011年の9月に大きなデモがありましたよね。
 
武田:会社から「デモをやっているな」と見た記憶があります。「巨大な運動会」のために、あのあたりの土地が、歴史を持つ土地が全てリセットされてしまった。
 
バラカン:明治公園もなくなった? そうか、あのへんを通ってないので知りませんでした。
 
武田:明治公園も霞ヶ丘アパートもなくなり、国立競技場の他に大きなビルが建っています。そのビルの中にJOC(日本オリンピック委員会)が入っています。かつての風景を知っている人間からすると、ブラックジョークのような街作りです。このところ、東京オリンピックに対して疑問を投げかける原稿を書くことが多いのですが、そういった個人的な体験というか記憶もあって、「復興五輪」という言葉が平然と飛び出てくることが許せない。「復興五輪」の内実は何なのかといえば、新国立競技場の入り口に被災三県の木材を使うだとか、聖火リレーを福島県のJヴィレッジからスタートさせるとか、そんなものばかり。
 
バラカン:もう、バカにしているとしか思えないですね。
 
武田:はい。「復興の姿を聖火リレーで見せます」と言うけど、福島第一原発の横を走るわけでもない。原発事故から8年が経ち、軽々しく「復興五輪」が連呼されることに対して、怒りを表明しようというエネルギーが世の中に足りていない。
 
バラカン:そうね、もう既成事実になってしまって、もどかしいですよね。2013年に安倍がブエノスアイレスに出向いて、「原発事故はアンダーコントロール」というプレゼンをしましたが、おそらくIOCもそのウソを分かったうえで、東京での開催を決めたのではないでしょうか。
 
武田:オリンピックって最近では、終了後に負債を抱えるケースばかりなので、名乗り出る都市が少なくなってきた。当然、IOCは多少のルール違反があろうが、決まったところでやろうとする。安倍さんのあのスピーチから色々と始まっている気がします。「アンダーコントロール」発言は、ここまでストレートなウソがあるのかというくらいのウソでしたから。
 
バラカン:だって、2019年10月になっても、いまだに「アンダーコントロール」になっていないから。国民がよくこれを許したと思いますよ。
 
武田:汚染水の行き先も決まらない、台風では廃棄物を入れた袋「フレコンバッグ」が河川に流出した。本来ならば、そのたびに先日の「アンダーコントロール」という発言の精査を繰り返さなければいけない。しかし、今回のオリンピックは大手新聞4社、読売、朝日、毎日、日経がオフィシャルパートナーになっています。そのあたりの追求が弱くなってしまう。
 
バラカン:う~ん、これもまたあり得ない話ですよね。
 
武田:それでも、批評精神を持った記事をたくさん書けばいいと思うんですが、どうもそういう感じにはならない。オリンピックまであと1年になりましたとか、競技場ができましたとか、節目のタイミングになると壮大にPRをする。開催が近づくにつれて、そういう機会が増えていくのだろうと思います。
 
バラカン:東京で開催が決まった時点から、メディアはずっと騒ぎっぱなしですからね。メディアが騒いでいると、国民もみんなその気になってしまう。反対すると「おまえ水をかけるな」というふうに思われるんでしょうね。だけど、そもそもオリンピックはお決まりのスポンサーたちのための事業というか行事なんだけどね。
 
武田:聖火リレーでは、「聖火リレーキャラバン隊」というスポンサー関係の隊列が続くようです。
 
バラカン:当然、そういうことになりますよね。あきれたものだけど。
 
武田:オリンピックに反対している学者も少なくなってきていますが、神戸大学の小笠原博毅教授が『反東京オリンピック宣言』という編著を出されており、その中で「どうせやるなら派」という言葉を使っている。どういう意味かというと、「最初は反対していたんだけど、まあ、もう、開催も近づいてきたし、どうせやるなら……」と緩やかに賛成に転じる人たちのことを指している。
 
「いつまでも批判していても、しょうがないっすよね」なんて感じで、「どうせやるなら……」と言い始める。それは、原発問題であろうがどんな政治イシューであろうが、日本社会の転びかたとして、すごく的を射ているな、という感じがします。
 
バラカン:日本独特のあきらめ方なのかな。ほかの国はどうだろうな。ほかのオリンピックで同じような反対運動は、最近出ていましたっけ? 
 
武田:オリンピックが行われるたびに反対運動は起きますが、今回のオリンピックは、東日本大震災、そして福島原発事故をどう捉えるか、ということが大きなポイントになります。先ほども言いましたが、「復興五輪」という四文字自体があり得ないはずです。「復興」と「五輪」のふたつを使った文章が成り立つとしたら、復興のために五輪をやめる、しかありません。
 
バラカン:まやかしですよね。要するに、説得材料にするためにスピーチライターだか誰かそういう人が、騙すために作った言葉としか思えないですよね。
 
武田:たとえば「アベノミクス」というネーミングなども、本来は、失笑しながら受け止めなければいけないものですよね。自分の名前を掲げた経済政策を自分でプレゼンしているという。
 
バラカン:あれはだって、80年代の「レーガノミクス」のパクリですけどね。「クールジャパン」も、ブレアの時代の「クールブリタニア」のマネをしているし。そもそも、自分のことをクールというのも極めてアンクールなことだと思うしね。それはイギリスにしてもそうなんだけど。そういうモノマネはちょっとやめてほしいな。自分の言葉を考えなさいよ、と言いたくなる。
 
 

ーAfter 3.11ー  
 
武田:「アンダーコントロール」にせよ「復興五輪」にせよ、スローガン重視です。有権者がそれに対してうなずくか、うなずかないかが問われる。でも、その定義自体がおかしい。こういうことって、3.11以降強まった気がしますね。
 
バラカン:やはり、3.11以降ですかね。
 
武田:3.11以降、原発問題だけではなく、特定秘密保護法、安保改正、共謀罪、消費税増税と、定期的に大きな転換を作り出してくるわけですね。これから、憲法改正という安倍さんの最大目標が控えているわけですけど。
 
バラカン:そうですよね、あれももはや既成事実のように語られている節があって、極めて危険だとぼくは思っているんですが。
 
武田:この夏の参議院選挙の争点として「憲法改正」は強調されていませんでしたが、彼らは、選挙結果が明らかになった後で、憲法改正の議論に踏み込むことに国民から後押しされた、というムードを作り出してきた。選挙の結果は憲法改正を認めるものではないのに、メディアがそれを追求しているとも思えない。なんとなく容認してくれたムードを作る。その成功体験を積み上げてきました。いつだって反対してくる人がいるけど、それをクリアした自分たち、乗り越えた自分たちという、彼らの筋トレに付き合っているような感じがしなくもない。
 
バラカン:たしかに、メディアは最近そういうことに触れないですよね。恥ずかしい話、ぼくもちょっと忘れてしまっていました。日常的にそういう言葉を耳にしないと、ついつい自分の意識からも消えかかってくる。でも、いま思い出すととんでもないことだね。
 
ところで、最近、中国政府の監視の方法がしきりにいろんなメディアに出ていますよね、顔認識だとかいろいろ。よくよく考えると、それを一番批判しているアメリカにも、スノーデンが暴露したNSA(National Security Agency/アメリカ国家安全保障局)の監視があるし、ぼくがかつて住んでいたイギリスもCCTV(Closed Circuit Television/監視カメラシステム)の元祖の国と言われるし、監視というのはどこもやっているんだなという印象があるんですけど、日本ではそういう話題がまったく出てこないんですよ。日本だってやってないわけがないのに。
 
武田:そうですね。
 
バラカン:それにもかかわらず、その話が出てこない。政府はもちろんそれについて何も発表しないでしょうし、メディアも疑っているかもしれないけど、記事を書かない、あるいはテレビで取り上げない。われわれは果たして、どのように監視されているのか、されていないのか。いろいろなところに監視カメラがあって、犯罪が起きるとカメラの映像が証拠に使われるということは、普段からみんな見られているということだろうと思うんですよね。
 
武田:去年の渋谷のハロウィンの大騒ぎで、若者たちが軽トラをひっくり返して、しばらくして逮捕されましたよね。渋谷の監視カメラを駆使して追いかけた、ということになっていますが、渋谷の街の動きだけでは、彼らがどの家に帰ったかというのはわからない。当然、乗降記録も提供されているんじゃないか、と疑いたくはなる。よくぞ捕まえた、ということだけでいいのか。今回の東京オリンピックは、監視産業にとって絶好のタイミングです。とにかくテロ対策だと言えば、いくらでも新規ビジネスが生まれるわけですから。
 
あまり報じられませんでしたが、昨年の隅田川花火大会で、警視庁は、カメラの映像から人数計測や移動予測を行う新システムの実証実験をしました。カメラを警察車両の上に設置し、人の流れをAIに学習させたうえで、不審な動きをする人間を特定するのだそうです。その「不審」の基準とは何なのか。ここに様々なデータを掛け合わせていけば、「危ない人」というか「危ないかもしれない人」を抽出できる。そういう実験が今、日本でも実際に行われています。
 
性格は違いますが、今、政府が必死に広めようとしているマイナンバーカードもそうですね。健康保険証などとも一体化させ、図書館の貸出履歴ともリンクさせようと考えているという。どういうことを考えている人間なのかまで踏み込もうとしているように思えます。
 
バラカン:じゃあ、中国となにも変わらないですね。中国みたいに、なにか言ったらすぐに刑務所に入れられるとか家族が意地悪されるとか、そういうことにはならないかもしれないけど、でも、結局それだけ情報をつかまれていると思ったら、みんな自主規制しますよね。ただでさえ日本人は自主規制しますから。ますます、その方向に行くんでしょうね。あまり健全な話ではないな。
 
武田:中国では「信用スコア社会」が広がっています。この人はどれくらいちゃんとした人なのか、危ない人なのか、スコアで判断されている。反政府的なジャーナリストは、移動するための長距離キップを買えない、というようなことまで起きているそう。日本社会がそこまで行くとは思えませんが、危機感を持っておくことが必要ですよね。
 
バラカン:これはよく言われることなんですが、記者クラブ制度がある限り、大手メディアが政府に対して批判的なことは言えないわけですけどね。その状況を変えることが果たして可能なのかどうか。
 
武田:ちょうど今日、消費税が10%になりましたが、新聞は軽減税率を適用されて8%を維持したんですよね。食品と新聞だけです。
 
バラカン:その2つだけ?
 
武田:オムツや生理用品まで10%になるというのに。新聞は生活の必需品だから、という理由です。経済界は税率をもっと上げたがっています。新聞の人たちはこれからも「すみません、今回も8%でお願いします」とお願いに行くわけです。今回は、8%をゲットした。国が何を要請するかというと「わかっているよね、俺たちの力で8%にしたんだからな。何をすべきかわかるよな……」となるわけですよね。
 
消費税10%でいいからキチッとものを言ってくれるメディアを、世の中の多くの人は待望していると思うんです。バラカンさんがおっしゃる通り、記者クラブ制度もそうですね。メディアの批判能力の減退というのは、やはり3.11以降に感じることが多くなりましたね。
 
 

ーマスメディアー
 
バラカン:3.11以前、おそらくほとんどの国民が気づいてなかったのが電力会社の広告です。原発反対はまったくタブーだったしね。電力会社が一番の広告主であることに、おそらく普通にテレビを見ているほとんどの人は気づいてなかったと思います。あんなにかわいらしい広告を打っていたし、あれはナニちゃんだっけ?
 
武田:でんこちゃん。懐かしいですね。
 
バラカン:ああ、でんこちゃんでしたね。3.11の後にけっこういろいろなメディアに電力会社の話が出たんですが、最近はまったくそういう話題も出てこないし、いままた、原発反対はご御法度的なニュアンスになってきているように感じますね。
 
武田:最近、増えているCMが指原莉乃さんと渡辺直美さんが2人で踊っているTEPCO(東京電力エナジーパートナー)のCMです。
 
バラカン:ぼくは最近テレビを見てないからそれは知らなかったけど、そのCMに原発のことはまったく出てこないんですか?
 
武田:出てきませんね。電気とガスを一緒に契約するとお得、という内容です。正確な数値はわかりませんが、相当なCM量です。
 
バラカン:相変わらず宣伝費は電気料金に上乗せしていいことになっているんですか? 以前はそうだったけど、なにも変わっていない?
 
武田:関西電力の役員らが賄賂をもらっていたというニュースが出てきましたが、あのニュースなんて、これまでずっと原子力行政がやってきた話を、そのまんま続けてきたことが明らかになる話です。
 
その少し前には、東京電力の元社長と元副社長に対する無罪判決が出ましたね。15.7メートルの津波が来るかもしれないという報告書が出ていて、実際に15.5メートルの津波が来た。結果、逃げ遅れてしまった人が亡くなったという裁判に対して無罪だと。その危険を想定して、地下にあった非常用電源を高台に上げることはできなかったのか。そういう議論も3.11の数ヶ月後ぐらいまではメディアで盛んにやっていたんだけど、今回の裁判後の報道では深掘りされていなかったという印象が強いです。結局、誰も責任をとっていない。
 
バラカン:というような話をこの媒体(NO NUKES PRESS)でしていると、すでに問題意識を持っている人たちは「ふむふむ、そうだよな」と思うけど、まだ問題意識を持っていない人たちに、少しでも話を届けるためにはどうしたらいいかということを、ぼくはずっと考えています。
 
武田:そうですね。こういった対談を読んでくださる人は、もう既に知っている人たちが多い。こうしてバラカンさんとお話しさせてもらうと、やはり、3.11以降、影響力のある日本のミュージシャンの動きを考えてしまいます。今日はたまたま、ロジャー・ウォーターズのTシャツを着ていますが、こういう人たちって、社会に対して直接的に迫っていきますよね。
 
バラカン:彼は相当、度胸がありますよね。
 
武田:先日も、ウィキリークスのジュリアン・アサンジを解放せよと、ロンドンの内務省前で歌っている映像を見ました。
 
バラカン:あと、イスラエル政府に対するボイコットもずっとやっている。
 
武田:ライブでもトランプのイラスト入りの豚の巨大風船を飛ばしたりしている。3.11以降、エンターテインメントの真ん中にいる人たちが、どこまで反対してくれたのかというと、本当に数えるほどでした。サザンオールスターズの件もがっかりでした。
 
バラカン:ああ、紅白歌合戦のあの事件ね。
 
武田:ちょびヒゲをつけて、安倍さんを揶揄するようなことをやったら、抗議が来て、すぐに謝罪文を発表した。
 
バラカン:ちょびヒゲのゼスチャーなんて別にそんなに大したことはないし、表現の自由の範囲内でしょう。あいちトリエンナーレのことも最近話題になっていますけど、その程度の表現の自由も許せない国というのは、一体どうなっているの? と素朴に思っています。ちょっと、なんて言うんだろう、がっかりしますよ。
 
武田:日本のエンターテインメント界のトップにいる人たちが、その程度の覚悟でやっていたということが本当に残念でしたね。でも、ミュージシャン個々と雑談をしていたら「いや、おかしいよ」と言うはず。それを具体的に発する人たちが出てこなかったことを残念に思います。
 
去年、樹木希林さんが亡くなり、彼女の足跡を振り返るテレビ番組が続き、彼女の言葉を集めた書籍がたくさん発売されました。樹木さんは沖縄・辺野古新基地建設に反対する市民と交流していた。彼女が亡くなったときに、そういう社会へのまなざしを紹介するところは少なかった。平和への希求は切なるものがあったはずなのに。
 
バラカン:海外にはたしかにロジャー・ウォーターズみたいな人もいる。あるいは、ジャクスン・ブラウンとかニール・ヤングとか、だいたい40年代生まれの一部の人たちに、そういう当事者意識を強くもっている人たちがいますけど、もっと若い世代のミュージシャンでは、残念ながらかなり少ないと思います。なにか発言している人がいると目立つぐらいだからね。日本に限ったことではないかもしれませんね。
 
武田:それは、政治的なことを発言すると、自分たちのキャリアに不利になると考えているのか、それとも、ただただ思っていないだけなのか、どちらなんでしょうかね。
 
バラカン:ぼくもよくそういうことを考えるんだけど、どっちなんでしょうね。そういう発言を望んでいる人が少ないということもあるのかな。海外ではおそらく日本と違ってミュージシャンが触れなくても、メディアで一般的にいろいろな社会的な問題に触れているからね。アメリカのケーブルテレビでも、反トランプの話が山ほど出てきますよね。それを言えば、なにか自分が不利な立場に立たされるということは多分ないと思うけど、どうだろうな。
 
 

ー偉い人と偉くない人ー  
 
武田:バラカンさんは、あまりテレビをご覧にならないとおっしゃっていましたけど、いま日本のテレビを見ていると、権力に対する風刺みたいなものはないんですね。
 
バラカン:まったくない。
 
武田:風刺よりもむしろ迎合しています。安倍さんは芸能界やテレビが好き。吉本興業と組んで色々なプロジェクトをやったりしています。先日、あるテレビ番組を見ていたら、「菅官房長官もこの番組を見ているんですよ」なんて周りの人が言う。すると、司会者が「ありがとうございます」と言って起立して礼をしたんです。愕然としました。
 
バラカン:いや、本当にイライラするんですよ、見ていると。
 
武田:それが今の日本の芸能界の姿勢なんです。
 
バラカン:でもね、テレビだけじゃなくて、一般の人たちも政治家のことを「先生」と呼んだりしていて、ぼくは昔からそれも気持ち悪くて。
 
武田:そうですね。彼らは代議士ですから、われわれの代わりに仕事をしている人にすぎないわけですからね。
 
バラカン:ときどき政治家が、自分は公僕だということを口先だけ言うけど、振る舞いはまったくそうなってないからね。ちょうど今朝、新聞の取材でイギリスのEU離脱の話の関係で、イギリス人とか英国らしさについて聞かれたんだけど、イギリスらしさのひとつに、偉そうなことを言わないというのがあるんですね。イギリスでは偉そうなことを言うと嫌われるし。それで、ボリス・ジョンソンの話をしたんです。
 
あの人はまったくトランプみたいなウソつきなんだけど、でもね、自分を少しバカっぽく見せる自嘲的なところが極めてイギリス的なんですね。あの人はテレビの生放送の直前にわざわざ髪の毛を乱して、自分を身近な存在として見せる演出をしているそうですよ。そもそも総選挙で選ばれた首相でもないし、人気があるのかわからないし、このNO NUKES PRESSが出るころには、まだ首相なのかどうかも微妙なところですが。
 
武田:そうなんですか。サボっているサラリーマンが、会社に戻る直前に霧吹きを顔にかけて、「がんばってきました!」と言い張るみたいな感じですね。
 
バラカン:イギリスでは偉そうなことを言うと嫌われるというところがあるけど、日本は縦社会だから、権力ある人が偉そうにしていると、もっともらしくみんな思うんじゃないのかな。
 
武田:財務省では昨年から、公文書改ざん、あるいは事務次官のセクハラ問題などが相次いでいます。大臣は麻生太郎さんですが、彼は記者に対して、乱暴な口調を聞くことが多い。「ああ、〇〇新聞か」というように。記者はそれに文句も言わずに従っているわけですが、本来は彼の部下でもないのだから「その口の聞き方は何ですか?」と言ってもいいはず。でも、麻生さんに引っ付いている記者だから、文句を言わないわけです。
 
バラカン:テレビで中継されているようなところでも、麻生太郎はそういう態度をとっているんですか?
 
武田:はい。あれだけの重大なミスを続けておきながら、彼はいまだに財務大臣という非常に重要なポストにいるわけです。
 
バラカン:それが、本当に信じがたくて。副総理で財務大臣をずっとやっている。よくもそのポストに残っていますね。そういう国だと思うと、ときどき絶望的になりますね。
 
武田:ほんとですよね。でも、こういう話をしていると「どこかに希望はないんでしょうか?」と聞かれることがあると思うんですど、そういうときは、なんて答えていらっしゃるんですか?
 
バラカン:どうなんだろうね。それでも、日本は世界の中で比較的暮らしやすいところだと思っているんですよ。今のイギリスは、まるで地獄だと思う。ロンドンは暮らしやすいところですけど、これから政治的にどういうことになるのか。EU離脱が本当に実現したら、しばらくはカオスになるはずですからね。アメリカも、有害物質が空気中にいっぱい舞っているような、いまはそういう印象しかないからね。観光客としても行きたくないな。ヨーロッパも右翼政治家ばかり増えていて、そういうことを考えると日本はまだマシなほうなのかな。
 
武田:少し前に、ラジオで映画評論家の町山智浩さんと話した時に、どこの国がいい・悪いというよりも、権力者同士が形だけ仲よくなっているのが現在だ、と言っていました。つまり、トランプと金正恩は仲がいいことになっている。金正恩とプーチンも一応コミュニケーションが取れていて仲がいい。自国優先主義の独裁者同士で肩を組んでいる状況があるわけですよね。
 
そうすると何が起きるかというと、上下の差が生まれる。国ごとのいい・悪いではなくて、どの国でも、偉い人と偉くない人との差が広がっていく。今の日本社会を見ていると、それがものすごく顕著になってきている。
 
バラカン:だからこそ、いまポピュリズムがこれだけ持ち上がっているとも言えるわけですよね。
 
 

ーパーティーをやるとメディアが黙るー 
 
武田:政府は原発を動かしたいと思っているわけですね。そのときに必要なのは、そのことに気付かせないようにする大きなパーティーです。
 
バラカン:まずはオリンピック。
 
武田:そして、オリンピックの後には、2025年に大阪万博があります。その後にはリニア新幹線の開通がある。さらには札幌で冬季オリンピックを招致しようと画策している。こうやって3~4年ごとにパーティーを作るわけです。今回のオリンピックを見ていればわかりますけど、パーティーをやるとメディアが黙ってくれる。
 
バラカン:みんなに気づかれないうちに……。
 
武田:パーティーをやると、あんまり表立って議論したくないことを通すチャンスが生まれる。昨日、夜中にテレビを見ていてビックリしたんですが、消費税10%になって、「見てください! 10%のレシートです!」と言って喜んでいるんですよ。
 
元号が「令和」に変わるときはもっとひどかったですけどね。元号が変わっただけで、なんで世の中が切り替わったように見えるのかよくわかりません。やはり、テレビはご覧にならないほうがいいと思います。
 
バラカン:ヒマな国だな。
 
武田:ヒマな国、という指摘は重いですね。どんな題材でもいいから、一致団結感みたいなものを欲している。その一致団結感を提供してくれるコンテンツが、これから定期的に用意されている。そういう社会の中で、なにかの問題についてずっと怒っている人というのは「あの人、バカみたいよね。いつまでも怒っていて」と思われる。「空気が読めない」というイヤな言葉がありますけど、そういう言葉がどんどん放たれてくるんだろうなと思いますね。
 
バラカン:確かに、ずっと怒っていると、人はそれをあまり聞きたがらないというのは当たり前だとも思います。ぼくだって、ずっと怒っている人はちょっと苦手だしね。本当は笑わせながら人の心に刺さるようなことが言えたらいいんですけど、なかなかそういう才能ももっていないし。マイケル・ムアはおもしろいと思うんですよね、あの人は怒らないからね。極めて淡々と言うべきことを言う人だから。だた、それも効果はないように見えて、とても残念だと思う。どのようにやればいいんだろうね。これは本当に一番、いつも引っかかるところですね。
 
ぼくがやっている活動は、たかが音楽を紹介しているくらいのものだからね。音楽番組をやってきて思うんですが、リスナーはあまり深刻な話は聞きたくないんですよね。たまになにか社会問題について話すと、数はそんなにでもないけど、クレームがくるんです。この前、あるリスナーから「アメリカの音楽イヴェント『NO NUKES』の40周年だから、そのライヴ・アルバムをかけたらいいと思うけど、番組では御法度かもしれないね」とメールがあったんですね。
 
それで、そんなことはないよと思って、小特集をしたんです。そこで、自分の意見としてではなく、『NO NUKES』のCDのブックレットに書いてある、原子力発電が安いという神話のウソについての記事だとか、そういうことをいろいろと読んで紹介したんですが、1人のリスナーからかなりひどいメールがきたんです。「こんな話を番組でするな。もし、こんなことを続けるんだったら、放送局に通報するぞ」とね。
 
武田:抗議の電話をするぞ、と。
 
バラカン:そうそう。プロデューサーに黙ってぼくが勝手にやっていると思ったのかな。たかがその程度のことを、なにを言っているんだと思ったんですけど、必ず1人や2人いるんです。
 
武田:それこそ「あいちトリエンナーレ」の件は、そういった電話攻撃が功を奏したという実例になってしまったわけです。しかも、文化庁が交付金を取り下げると決定した。電話した人たちにすれば、「やったぞ、おれたちの電話攻撃が効いたぞ!」ということになるわけです。こういうことが続くと、「誰それの番組、考え方が気に入らないから電話しよう」と発展していく可能性があるわけですよね。
 
企業が、そういったことにとてもナーバスになっています。電話攻撃をする人たちのモチベーションだけが上がっていく。なぜかというと、国がそれをほぼ肯定してくれたからですよね。これから、そういうことがどんどん増えてくると思います。
 
バラカン:数少ない右派が異常な影響力を用いるということですよね。
 
武田:現政権が彼らに合わせて政治をやっているから、彼らも自信が出てきますよね。
 
バラカン:それと、『NO NUKES』のブックレットに「自然エネルギーはタダだから、エネルギー会社はそれをみんなに知ってほしくない」と書いてあるんです。タダというわけではもちろんありませんけど、この前ニューヨークタイムズのオピニオンで、政界から引退したアル・ゴアが、「自然エネルギーはここ数年で安くなってきているし、さらに効率がよくなっていく。電池もどんどん性能が上がっているし、もっと利用するしかない」という記事を書いていましたけどね。日本では今どのくらい自然エネルギーを使っている人たちがいるのかな。まだまだ増えてないでしょ。そういう議論もあまりないし。
 
武田:テレビを見ている限りでは、エネルギー問題について議論するということもあまりないですよね。原発を海外に輸出しようしたものの頓挫した。すさまじいお金を使ったのに成果がなかった。では、今度はやっぱり国内で、となってくる。
 
原発事故の直後には、原発を問う本や雑誌、特集記事がたくさん出たし、売れたといえば売れたんですけど、その波は半年くらいで萎んでしまった感覚があります。ワイドショーを定期的にチェックしていましたが、8月ぐらいに原発の報道が途絶え始めたんです。なんのニュースに切り替わったかというと、島田紳助が反社会的集団との付き合いで引退を発表した、という話題だったんですね。
 
テレビの人たちは毎分や毎秒の単位で視聴率を見ているから、「そろそろ原発報道で数字が取れなくなった」となれば、新しい話題を探る。2011年8月って、収束したとは言えない頃なのに、そっちに切り替わっちゃった。たぶん、その数字もよかったんでしょう、しばらくずっと島田紳助をやり続けた。その後は、次の話題、次の話題とスライドしていくわけです。
 
バラカン:これは、日本に限った話じゃないね。
 
武田:ひとつの問題をどうやって継続して議論していくのかというのは、大きな問題だと思います。
 
 

ー当事者意識と問題意識ー  
 
バラカン:いまはニュースのサイクルがとにかく短くなってきているね。同じ話題を追うには、集中力がいるからね。多分ね、スマートフォンでニュースを次々に消費する人たちが増えているから、人々の集中力がだんだんなくなってきているんだとも思うんです。新聞を細かく読んでいると、大きな記事と細かい記事があって、細かい記事に、たとえばエネルギー問題のちょっとしたニュースがあれば忘れずに済むんですよね。でも、新聞をそういう風に読んでいる人は、多分どんどん減っている。これは世界的に起こっていることで、情報との接し方の変化に問題があるような気がするな。
 
武田:本人がどうのこうの、というわけではなく、池上彰さん的な存在にわかりやすくハッキリ手短に言ってもらうという場面が増えすぎています。どんな社会問題があったとしても、3つにまとめます、要点を整理します、となる。「こういう意見があります、こういう意見があります。ここは問題ですね。では、次の話題に移ります」と要点を整理するだけで立ち去る。
 
そのやり方がスマートフォン的な価値観とリンクする。「では原発をどう減らしますか?」「憲法についてどう考えますか?」というようなことは、結論はそんなにすぐには出せないわけですよね。来週も議論し続けます、とやるのが本来の議論の姿だし、建設的なんでしょうけど、それを視聴者が許してくれない。「なんで分かりやすく説明してくれないんですか」と。
 
バラカン:ところで、いま、ちょうど読み終えたすごくおもしろい本があるんです。麹町中学校の校長やっている工藤勇一さんという方が書かれた本なんですが。この人、知っていますか?(『麹町中学校の型破り校長 非常識な教え』を出す)
 
武田:書店でよく見かけます。たくさん本を出されていますね。
 
バラカン:当事者意識のこととか、ずっと人に依存してしまう子供のことなどが書いてあります。親がなんでも手をかけてやると、子供の自立を奪ってしまう。親からのサービスをずっと受けていると、そのうちにそのサービスに対して批判するようになる。親のサービスがよくないから、先生の教え方が悪いから、自分が勉強できないんだと、人の悪口を言うようになる。メディアを見ている人たち、テレビを見ている人たちも同じように主体性を奪われていて、自主的に情報を自分で取ろうとしないで、受け身になっているように思います。テレビというのはもともと、見ている方が受け身になる媒体なんだと思いますね。
 
武田:知り合いの大学教授などに聞くと、だいたいみんな同じようなことで悩んでいます。学生に対して意見を求めると、自分の意見がいかにマスかどうかを過度に気にする、と。みんなと違う意見になるのを恐れるそうです。
 
バラカン:この人がやっていることは、すごく画期的なんですよ。
 
武田:そういったことを壊そうとされているんですかね。
 
バラカン:そうそう。みんなが違っていて当たり前だと中学生に教えているんです。宿題をなくして、服装を自由にして、期末テストもなくして。みんなが当たり前だと思っていることをどんどん改革していって、それによって子供たちが自発的に学ぼうとする空気をつくっていっているんですね。とても画期的なことをやっていると思うんだけど、それが少しでも、もっと社会全体に広がっていけばいいことになると思うんだけど。
 
この本を読んで、本当にいいことをやっている人がいるなとすごく思ってね。当事者意識をもつことがいかに大事であるか。自分がアクションを起こすことが何よりも大事だ、みたいなことを本の最後に書いているんですけど、本当にその通りだなと思って。ちょうどいまさっき、ラジオの番組でインタビューしてきたところなんです。とてもいい人だった。
 
武田:そういう発想を学校だけじゃなくて、記事を書く人間であったり、どんなメディアの人間も持っていないといけないはずですね。
 
バラカン:彼は夏休みに全国で何十回も講演をやっているんですが、学校だけではなく企業でもやって、社長に「学校の話だけど、企業も同じようなものだ」と言われたそうです。いまの日本の社会では、当事者意識がおそらく一番欠けているものなんだろうなと、ときどき思いますね。さっき武田さんがおっしゃっていた「どうせやるなら派」というのも、そのひとつの表れだと思います。自分たちが立ち上がって何かをしないと何も変わらない、ということは自分も含めてそうなんですけどね。それが変わらなければ、自分がますます苦労することになるということだと思うな。
 
武田:このあいだ、梶谷懐・高口康太『幸福な監視国家・中国』というタイトルの本を読んだんですが、中国のSNSって、ネガティブな言葉を書いたら即座に検閲される、というイメージだった。確かにそれはそうなんだけど、習近平体制になってから、同時に、ポジティブな言葉を流通させ、社会を肯定的に捉える「正能量(ポジティブ・エネルギー)」を溢れさせようとしているそうなんです。
 
この感じ、今の日本と似ているような気がするんですね。つまり、批判を消すというよりも、礼賛する言葉や積極的な言葉ばかりを投じることで、ワーワーうるさく言っている人たちの意見を目立たなくさせてくる。ポジティブなことってなかなか批判しにくい。自分は昔から「24時間テレビ」的な感動の乱造が好きではないのですが、ああいう、「自分たちのやっていることはいいことでしょう」というテンションが増えてきている気がして、何か気持ち悪く感じることも多い。
 
それこそミュージシャンのインタビューなどを読んでいても、そういうことしか言わない人が多いですよね。「どうやったら世の中ハッピーになるかを考えています」みたいなことしか言わない。世の中をハッピーにしたいなら、アンハッピーなところを見つけてそれを改善しないと、ハッピーにならないと思うんです。でも、とりあえず「ハッピーになりたいです」と言うだけ言う。その波はこれからどんどん高くなってくる気がするんです。だから、個人的には、もうイヤなやつで居続けようかなと思っていますけどね。
 
バラカン:そうね、別にイヤなやつでいたいというわけではないけどね。
 
武田:普通のことを言っているとイヤなやつになるという。
 
バラカン:当事者意識と問題意識をしっかりと持つ、それだけのことだと思うな。ただ、それを1人で持っていてもしょうがないから、誰かにそれを伝えたいね。
 
武田:そうですね。ほんとうに、どうしたら気づいてくれる人が増えるのかなと、いつも思いますね。
 
バラカン:せっかくメディアで仕事しているからね。その立場をうまく利用するというのか、なんて言ったらいいんだろうね。何もしないというのは、あまりにも情けない話だからね。
 
 
(2019年10月1日 東京都千代田区にて) 撮影:宮坂恵津子
 
 
<プロフィール>
 
ピーター・バラカン 
ブロードキャスター。 1951年ロンドン生まれ。1974年、レコードショップで働いていたとき、日本の音楽出版社の求人に応じて来日。6年後、YMOのマネジメント事務所に 転職し、YMOの海外コーディネイションや楽曲の英補作詞を担当した。その後は独立し、テレビやラジオの音楽番組パーソナリティを数多くつとめ、その選曲 センスは音楽ファンから高い評価を受けている。 また、テレビ番組の司会も務め、「CBSドキュメント」(TBSテレビ)で海外の良質なドキュメンタリーを紹介し、「Japanology Plus」(NHK)では伝統文化をはじめ、日本の様々な側面を紹介している。 主な著書に、『魂(ソウル)のゆくえ』(アルテス・パブリッシング)、『ぼくが愛するロック名盤240』(講談社プラスアルファ文庫)など。
【オフィシャルサイト】https://peterbarakan.net 
 
武田砂鉄
1982年東京都生まれ。ライター。著書に、『紋切型社会』(新潮文庫)、『芸能人寛容論』(青弓社)、『コンプレックス文化論』(文藝春秋)、『日本の気配』(晶文社)などがある。TBSラジオ『ACTION』金曜日パーソナリティー。
【オフィシャルサイト】http://www.t-satetsu.com 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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