首相官邸前抗議が、とうとう100回目を迎えました。
5月も毎週金曜日開催。
さらに6月1日(日)は、官邸・国会前☆大抗議もあります。
以下は、スタッフの方からの第100回目のレポートです!
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5月です。
地面から、木々から、あたらしい命がクククイッと頭をのぞかせ始めました。4月がホワンと柔らかいピンク色なら、5月はピンッと元気な緑色かなぁ。
そんな5月最初の金曜日。首相官邸前抗議は、遂に100回目を迎えました。いや、迎えてしまいました…。
何とも複雑な気持ち…。
100回です、皆さん。
何となく…ただただ、100という数字の重みを胸に抱きかかえ、永田町へと向かいました。
今日の昼間は夏を思わせる様な強い陽射しのよいお天気!日が暮れてもさほど気温は下がらず、むしろちょっとジメッとした感じ…。
100回かあ…100回ねぇ…と、ブツブツ心の中で繰り返しながら到着すると、あれ?何だかいつもより人数も多く、空気もワイワイと活気づいてる感じじゃね!?
国会前にも官邸前にも、続々と人が集まってきています。
スタッフの男の子に「今日、いつもより出足いいんじゃない?」と聞くと「やっぱ100回目ってんで、初めて来たって人も多いみたいだよ。さっきスピーチした高校生のグループも『100回なので初めて参加してみました!』って言ってた。」と。
「何か、今日は雰囲気も盛り上がってる感じだね!」
「うん、いい感じだよ」
100回だから初めて来てみた。100回だから、久しぶりに参加した。…これってさ、この金曜抗議の場が、良い意味で、もう『定着』してるって事ですよ、皆さん。
うまく言えないけど…なんつうか、みんなの意識の中に、普通に存在してるというか…。すごい事ですよ、よく考えたら…。
「100回だって言うからさ、久しぶりに来てみたんだよ。ここが続いててくれて嬉しいよ。」
と、ニコニコ言うおじさん。
二時間近くかけて来たという女性は
「この場を用意してくれてる方々、参加して繋いでくれてる方々に本当に感謝よ…」
そうなんだよね。一人一人が繋いで来たんだよなぁ。
財務省交差点から国会前エリアへ向かう舗道には、いつもより長く…塀にはズラリと参加者の方々が座っています。
あ、そっか、ここにこうして腰掛けると、ほら…目の前が国会議事堂なんだな。みんな、塀に腰掛け、目の前に建つ国会議事堂をじっと見ています。
金髪モヒカンで、上着にジャラジャラ色んなものを付けてる、厳つい顔をした男性が国会前ステージに向かってずんずん歩いてきました。そのまま、パッと最前列に…。
何つーか、その、全くためらいのない空気!
国会前ステージから桜田門へと続く舗道では、塀に立ち、団扇を振って一生懸命コールする女性や、手作りのペットボトルのランプを振りながら抗議する男性の姿が。
新聞紙を丸めたデッカいメガホンで叫ぶおじさんもいます。(ホントにデカい…)
足がちょっと不自由な、杖をついたおじさんが歩いてきました。
小さな女の子の手を引いたママもいます。
いつもの自転車隊も元気に走っています。
こうやって、100回…続いてきたんだなぁー。
キャンドルエリアの前を通りかかると、いつものアノ金魚のお兄さんがいました。(いや、普段は金魚かぶってないですよ(^^;)お疲れ様でーすと話し掛けると、「今日はさ、清志郎の命日だからね、俺、ちゃんと花買ってきて清志郎の写真に捧げたんだよ!」
あ!そうか…奇しくも今日は清志郎の命日なんだよね。
見ると、いつもの写真の前に、ペットボトルにいけた小さな花が飾られています。金魚のお兄さんは「ま、安い花だけどね!」と言って、あははっと笑顔。一瞬、清志郎の表情が、ちょっとだけ得意気に見えました。
官邸前エリアへ来ました。グミ坂も盛り上がっています!やっぱりこっちもいつもより多め。コールする声にも力がこもります。
今日も若い子多いなぁ~。
地下鉄入り口前では、スタッフの女の子達が、地面にしゃがんで一生懸命フライヤーを折っています。そこへ、参加者の男性がカンパをしに立ち止まりました。その男性も腰をかがめ、低い姿勢でやりとりしています。何かあったかい、いい光景だなぁ・・・。
100回目だろうが、何だろうが・・・抗議そのものは何も変わりません。
このレポートを読んでも分かるように、毎回、何か変わった事がある訳じゃありません。淡々と単調に過ぎていく時間。ただただ、原発をなくしたいという気持ちだけが、この2時間を作り上げてます。
面白くもなんともない。抗議の2時間なんて退屈ですよ、そりゃあね。
それでも、続けてきました。続いてきました。
ほったらかされても、無視されても、誰も注目しなくても叫び続けてきた、それが100回続いたってことなんだよね。
参加者のおばさんがニコニコと警備の警察官にお辞儀をして、帰っていきました。
色々な人が行き交う金曜官邸前抗議。
別にね、100回だからって感傷に浸ってるわけじゃないですよ。でもさ。やっぱ、一つの通過地点として、いろいろ思いますよ。
グミ坂では最終コールが始まりました。「原発やめろ!さっさとやめろ!」声に力がこもります。何回、何百回、この言葉を叫んできたのでしょう・・・。
「あべしんぞうーっ!!」
ダラクさんのいつもの官邸に向けてのスピーチと〆の言葉。
「100回・・・100回です。僕は、屈辱な100回だと思ってます。何でこんなに何回も抗議しなきゃならないんだよ!1回でも少なくしたいんだよ!今日でやめたいくらいだよ!」
うんうん・・・と頷く参加者のみなさん。
「ここへ出て来て、人々の声を聞けよ!!」
100回目の抗議もいつもと同じように、8時にサッと終わりました。グミ坂で皆さんを見送っていると、常連の参加者の女性がニコニコと近づいてきました。そして、笑顔で、
「もう、100回もやるハメになるとは・・・やんなっちゃいますね。でも、やるしかないですよねぇ。とにかく、頑張って続けていきましょう。お疲れ様でした~」
そう言って、帰っていきました。
原発事故が…原発の恐ろしさが、風化されそうになる今。
原発反対のデモも・・・へたすれば過去のものという印象になりそうな今。
それを食い止めているのが、毎週金曜ここで続いている、この『官邸前抗議』の様な気がします。
『望むに臨む』のぞむにのぞむ・・・ふと、浮かんだ言葉です。
何故、脱原発を望んでいるのでしょうか?
地球を汚し、命そのものを脅かす原発はいらない、本当にいりません。福島の人達の悲しみ苦しみを見れば、他に理由なんていらない、そう・・・それは大前提です。
しかし・・・
『脱原発』には、実はそれだけではない、更に重要な意味があるのです。
日本にずっと長いあいだ深く根を広げてきた、不条理な巨大システム。脱原発を実現させることで、そこに、大きな大きな穴を開けることが出来るのです。長く立ちはだかってきた巨大なぶ厚いその壁に、一発ドカンと穴が開くんですよ。
どーなると思います?
今まで塞き止められていた風や水がそこから一気に流れ出します。ドバーッとね。まあ、大変なことですよ。ずっとずっと構築されてきたモノが、たった1つ穴が空いただけで崩れ始めるんですから。でも、壁ってそういうもんでしょ?流れを塞き止めていたどんなにバカデカい壁だって、一個穴が開きゃあ、そっから水も風も流れ始めますよ。そしたら、本当に色々変わると思いますよ。今まで原発で儲かっていたピラミッドが、頂点から崩れ落ちますよ。もうそうなったら、誰もその流れを止められません。風に飛ばされ、水に流され…色んな事が変わっていくでしょう。
私達が311以降、ずっとずっと…アホみたいに望み続けてきた『脱原発』は、実は、私達が考えてる以上に、ものすごい大きなことなんです。
だからこれからも・・・
100回だろうが何回だろうが・・・
あの巨大な壁に、たった1つ穴を開ける為に・・・
NO NUKES!
やり続けるぜ!
また、来週~!!