【2013/08/30】東京・官邸前 「名もなき頭数になりに行く」

小出裕章さんの「一人でもいいから闘い続けようと、今までやってきました。今日ここへ来て、こんなにも沢山の同士がずっと声をあげ続けているということに励まされました。」という言葉に泣きました。
スタッフの方からのレポート、以下全文です!
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月曜の夜、赤坂見附で用事があり、地図で場所を見てみると、あれ?キンカンの場所から近いじゃ~ん!
(…官邸前を基準に考えてしまう自分が恨めしい~泣)
なので、会社終わった後、いつものコースをいつもの様に歩いて行きました。同じ時間帯なのに、金曜とはまるで別の場所の様な霞ヶ関。雰囲気が全く違います。
歩道の横の茂みでは虫達がころころといい声で鳴いていました。あ…そっか、いつもはみんなのコールやドラムの音でかき消されてたんだなあ。
何だか不思議な感じでした。
さ!そして今日も行きますわよ霞ヶ関!(たまにはお上品に)
しかし何だオイ、急に秋、来たな。(そしてオッサンに戻る)
とはいえ、今日は暑かった…。ひじょーに暑かったっっっ!!
汗を拭き拭き日比谷からの坂道を歩いてきて、財務省の交差点で信号待ちして立っていると、隣に来た女性が「…暑いですね。飴、いかがですか?クエン酸…。」とニコニコとクエン酸のキャンディーを差し出してくれました。「わ~!ありがとうございます!嬉しい~、今日暑いですよね~」と言い、一緒に交差点を渡りました。
今日は到着次第、官邸前に付いてくれと言われていたのですが、国会前にちょっと用があったので先ずは急いで国会前に。
何だか今日は子供連れ…多くないか?夏休み最後の金曜日にバパとママと一緒に霞ヶ関へ…でしょうか。素敵だ~(^^)
国会前ステージでは、ちょうどコールが始まってました。が、何かスゲー熱気…なんだなんだ?何事だ??
なんと…ドラム隊にあの小出裕章さんが参加してたのです!だから、この熱気なのかっ!
その後、小出さんのスピーチが始まりました。「一人でもいいから闘い続けようと、今までやってきました。今日ここへ来て、こんなにも沢山の同士がずっと声をあげ続けているということに励まされました。…(概略)」スピーチは続いてましたが、官邸前へ行かなくてはアカンので、用を済ませ、後ろ髪引かれながら歩き出しました。
ふと見ると、前にも見た物静かな感じのサラリーマンの男性が、今日も控えめに参加者の列に加わっていました。両手で鞄を握りしめ、恥ずかしそうに、うつむき加減に…立っていました。(今日も居心地悪そうだな~笑)…と、微笑ましく見ながら、小走りに官邸前へと向かいました。
官邸前でのスピーチ。
「あべしんぞー!緊急事態だよっ!緊・急・事・態なんだよ!!」「あべしんぞー!あべしんぞー!!反省しろォォ!」(笑) 出た!(^^;
プラカードを持った…というよりプラカードに抱きついてる(笑)小さな女の子を抱いたパパが、小走りにグミ坂をやって来ました。「再稼働反対、再稼働反対…」とふぅふぅ声をあげながら、地下鉄乗り場へ降りて行きました。
やはり7時過ぎから人がどんどんとやって来ます。
しかし今日は暑い…。何だか湿気が凄いんだよね。立ってるだけで、ジトッと汗が滲んできます。
少し腰の曲がった小柄なおばあちゃんが近づいて来ました。私の前に立つと「ご苦労様です…いつもご苦労様です…」と、丁寧に何度も頭を下げられ、カンパ袋にお金を入れ、また頭を下げられ…帰って行きました。(涙)
するといきなり左手から「ゲンパァツ!ヤメーロ!!」の声が。振り向くと、外国人の男性がニッコニコの笑顔を私に向け、コールしながら通りすぎて行きました(^^;ゲンパァツヤメーロ…いいかも…(笑)
今日も若い子けっこう来てるな~。地下鉄乗り場から出てきたお洒落な男の子は、上がって来て即!デカイ声でコールし始めてたわー。
すると今度は、物っ凄い控えめな物腰の男性が、おずおずとこちらに向かって歩いて来ました。消え入りそうな声で…
「あの、あの…それ…頂いても宜しいでしょうか?」
「え、チラシ…はいっ!ありがとうございます!どうぞ!」
と3種類あるチラシを、それぞれ1枚ずつ渡すと、とても悲しそうな顔をし…
「あの…何枚か余計に頂くことは…出来ます…か?」
「あ、もちろんですよ~!このくらいで?」
と5~6枚渡すと
「あ…いや…ええと…」
「もっと…?」
「あ、はい、もっと…」
「んじゃー、こんくらい持ってっちゃいます!?」
と、3種類それぞれ30枚程をバサッと差し出すと
「あ…それ頂いて行きます…すみませんすみません、ありがとうございます、どうもありがとうございます…」
消え入りそうな声でおじぎをし、渡したチラシを大事そうに抱え、帰って行かれました。きっと、あちこちに配ってくれるのでしょう。ありがとうございます!
8時になりました。
「暑い中お疲れ様でした~!ご苦労様でした~」の声と共に、カンパやらチラシちょーだいやらでバタバタな状況のなか、ほっしーも助っ人に来てくれてワイワイやっていると、その人の波を掻き分けるかの様にして、1人のおばさんが私に近づいてきました。
で、ものすごく真剣な顔をして…
「ねぇねぇ~!あのね、今日、スピーカーの音小さかったのよぉーっ!」
と。(笑)
「そーなんですよ~、何か電池がなかったとかで、音、小さかったですよね―!」
と、人に揉まれながら答えると、更に、泣きそうな顔をして…
「え~!やだぁ~、電池いれといてよ~ぉ!だってだって…音小さいと盛り上がんないんだもん~!!」
おばさんは全く笑ってません。ホントにすがるような顔で言ってるのです。
「りょ、了解しました、必ず電池入れときますね!次回はバカデカイ音で!」
と、親指立ててウィンクしたら、おばさんはやっと安心したらしく、超嬉しそうな顔をして、ニタ~ッと笑顔で帰って行きました。
(てことで、反原連の方々…すみません、スピーカーヨロシクです(^^;)
後で、このおばさんの気持ちを考えた時、ハッとしました。そっか…みんな不安なんだよな…って。自覚してても、してなくても、不安で心細い気持ちで来てる人、凄く多いんだろうな。いや、みんなそうなんだよな。
分かってたつもりでも、分かってなかったのかもしれない。
だからここへ来て、ドラム隊の音がガンガン鳴ってて、スピーカーからそれがバカデカい音で響き渡ってるのを聴くと…安心して、勇気づけられるんだよね、きっと。奮い立たされるんだよ、そうなんだよね…。
ずっと前、ドラム隊の事を『金曜官邸前抗議の心臓、鼓動だ』って言ってた参加者の方がいました。ホントに、そうなんだよね。ドラム隊の人達が、想いを込めて…祈りを込めて…紡ぎだすあの音に、みんな励まされているんだよね。
参加者の方がほとんど帰られ、人もまばらになった頃、目の不自由な男性を連れた女性が、にこやかに話をしながら歩いて来ました。地下鉄入り口前まで来ると、女性が「さあ、着きましたよ。段差があるから気をつけて、はい、ここから階段ですよ。」と。男性が「ありがとうございました、はい、ここでもう…。大丈夫です、ありがとうございます。」と言うと、女性は「お気をつけてお帰りくださいね。今日はお疲れ様でした!」と言って、来た道を小走りに引き返して行きました。
御夫婦か、知り合いかと思ったら、全くの他人同士だったのです。
階段を降りていくその男性の側に、今度はちょうど先に降りていたみわぞうさんが「大丈夫ですか?」と気をつかいながら寄り添い、ゆっくりゆっくり、一緒に降りて行きました。
この官邸前抗議が始まった頃、良く使われた言葉があります。
「名もなき頭数になりに行く」
この抗議の場を無くしちゃいけないと、必死になって繋いできた事を象徴するかのような言葉。
誰もが、抗議参加者の1人ってだけであって、目立たない地味な存在。自分がどうとか…そうではない。誰かのため、何かのために。あの抗議の場を無くさない為に。共に闘ってる人達を見えない力で支える為に。ただの頭数になりに行く。
むのたけじさんの、詞集【たいまつ】に
『もしも自分のためにかがやくなら、燈台は船をみちびくことができない。』
という言葉があります。
誰かを思いやりながら、名もなき1人でここに立ち続けている参加者の皆さんは、必ず《未来》を導くことができると思う…。
必ず。
おっし!
また、来週~~!